鉄筋コンクリート造 更新日:2026年6月18日

鉄筋継手の種類とは?重ね継手の長さ・基準・圧接・機械式を解説

RC造の配筋で必ず登場するのが鉄筋の継手(つぎて)です。この記事では、鉄筋継手の3種類(重ね継手・圧接継手・機械式継手)の違いと使い分け、そして実務で迷いやすい重ね継手の長さの決まり方を、継手長さ表とあわせて整理します。

この記事の要点
  • 鉄筋の継手とは、分割した2本の鉄筋を1本と同等の性能になるよう接合すること。種類は重ね継手・圧接継手・機械式継手の3つ。
  • 重ね継手の長さはコンクリートの設計基準強度Fcと鉄筋の強度で決まり、フックを付けると付着力が高まり継手長さを短くできる
  • 太径(D19以上など)では重ね継手ではなく圧接継手・機械式継手が用いられる。

鉄筋の継手とは?なぜ必要なのか

鉄筋の継手とは、2本の鉄筋を1本につなぎ合わせることです。代表例が、2本を重ねてコンクリートの付着力で力を伝える「重ね継手」です。

では、なぜ継手が必要なのでしょうか。理由は鉄筋の長さの制約にあります。

  • 鉄筋は標準で長さ12m以下の製品として製造されます。
  • 一方、建物の部材は12mを超えることもあります(例:長さ15mの梁)。
  • 長尺の鉄筋は製造も運搬も困難なため、数mに分割して現場へ運びます(例:7.5m+7.5m=15m)。

ただし、分割したままでは鉄筋は1本分の性能を発揮できません。そこで継手によって、分割した鉄筋を「1本と同等」に働かせるのです。

重ね継手の長さの考え方

重ね継手の長さは、コンクリートの設計基準強度(Fc)と鉄筋の強度で決まります。実務では後述の表から読み取りますが、その値は次の考え方が元になっています(一次設計時)。

L = σb × db / (4 × fa

ここで L=継手長さ、σb=鉄筋に作用する応力度、db=鉄筋の呼び径、fa=許容付着応力度です。

考え方はシンプルです。継手とは「鉄筋Aに作用する応力を、鉄筋Bへ確実に伝える」こと。重ね継手は鉄筋同士を溶接も機械接合もせず、配筋時に結束線で束ねる程度です。そのままでは力が加わるとバラバラになりますが、コンクリートを打設して固まると、鉄筋Aの応力はコンクリートの付着力を介して鉄筋Bへ伝わるようになります。上の式は、この「付着で力を伝えるのに必要な重ね長さ」を表したものです。

POINT:フックで継手長さは短くなる

鉄筋端部にフックを付けると付着力が向上するため、フックなし(L1)よりフックあり(L1h)の方が継手長さを短くできます。

鉄筋の重ね継手長さ表

実務では、上記のような計算は毎回行いません。鉄筋の種類とコンクリートのFcが分かれば、表から継手長さ(鉄筋径dの倍数)を読み取れます。

鉄筋の種類Fc(N/mm²)L1(フックなし)L1h(フックあり)
SD295A
SD295B
1845d35d
2140d30d
24・2735d25d
30・33・3635d25d
SD3451850d35d
2145d30d
24・2740d30d
30・33・3635d25d
SD3902150d35d
24・2745d35d
30・33・3640d30d

※ d は鉄筋の直径(呼び径)を表します。例:D16・SD345・Fc24でフックなしなら 40d = 40×16 = 640mm。

上表は公共建築工事標準仕様書を元に作成しています。公共建築物はこれに準じるのが基本ですが、日本建築学会のRC計算規準・配筋指針ではもう少し緩い値になります。適用する基準を確認のうえご利用ください。

太径の鉄筋は重ね継手を使わない

D19以上などの太径鉄筋では、重ね継手ではなく圧接継手が用いられます。やりたいこと(複数本を1本にする)は同じですが、圧接は鉄筋に熱を加えて1本に造り替えてしまう点が異なります(溶接とは別物ですが近いイメージです)。

継手の種類(重ね・圧接・機械式)

鉄筋継手は大きく次の3種類です。

  1. 重ね継手:細径の鉄筋で最も多用される。鉄筋を重ねてコンクリートの付着で力を伝える。
  2. 圧接継手(ガス圧接):鉄筋端面を加熱・加圧して一体化。太径に多い。
  3. 機械式継手:カップラー(継手金具)で鉄筋を接合する。
鉄筋継手の種類(重ね継手フックあり・フックなし、圧接継手、機械式継手)の納まりと継手位置のずらし距離a
継手の種類と納まり(重ね継手・圧接継手・機械式継手)。継手位置は所定の距離 a だけずらす。

カップラーとは、鉄筋を差し込めるよう孔の空いた金具です。孔は全ネジになっており、両側から鉄筋をネジの要領で差し込みます。鉄筋Aの応力は、カップラーを介して鉄筋Bへ伝わります。機械式継手は施工精度が高く、狭あい部の施工にも適するのが利点です。

「いも継手」を避ける

どの継手でも、各鉄筋の継手位置が同じ断面に集中しないよう、所定の距離 a だけずらして配置します。継手が一列に並ぶ状態(いも継手)は弱点になるため避けます。重ね継手では a≧0.5L1(フックなし)など、圧接・機械式では a≧400mm などの規定があります。

混同しやすい用語の整理

重ね継手

2本の鉄筋を並べて重ね、コンクリートの付着力で力を伝達する方法。細径鉄筋(D16以下程度)に多用されます。圧接継手と違い、鉄筋同士を直接一体化はせず、付着に頼るため重ね長さが必要です。

圧接継手

鉄筋の端部を加熱・加圧して一体化させる方法。D19以上の太径鉄筋に用いられ、鉄筋1本分の強度を直接伝達できます。鉄筋を直接つなぐため、重ね継手のような重ね長さは不要です。

継手の種類概要適用範囲・特徴
重ね継手鉄筋を一定長さ重ねて配置細径(D16以下)に多用。Fcが大きいほど継手長さは短い
圧接継手鉄筋端面を加熱・加圧して接合D19以上の太径に使用。信頼性が高い
機械式継手カップラーで鉄筋を接合施工精度が高く、狭あい部の施工に適する

まとめ

  • 鉄筋の継手は、分割した鉄筋を1本と同等の性能にする接合。種類は重ね・圧接・機械式の3つ。
  • 重ね継手の長さはFcとSD強度で決まり、表から「○d」で読み取る。フックありは短くできる
  • 太径はおもに圧接、狭あい部などは機械式と、条件で使い分ける。
  • 継手位置はいも継手を避けて所定距離ずらす
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RC造の基礎は鉄筋コンクリート造カテゴリにまとめています。コンクリートの強度については「コンクリートの許容応力度」もどうぞ。

※継手長さ・継手位置の規定は、適用する基準(公共建築工事標準仕様書/日本建築学会規準など)や年度の改定により異なります。実務では必ず採用基準の最新版をご確認ください。