固定荷重・積載荷重の拾い方|荷重の種類と組み合わせをわかりやすく解説
構造計算は「建物にどんな力が作用するか」を数え上げる荷重の拾い(荷重拾い)から始まります。地味な作業ですが、ここを間違えると後の計算がすべて狂う、実務で最も大切な工程のひとつです。
建築の荷重の全体像
| 記号 | 荷重 | 性質 |
|---|---|---|
| G | 固定荷重(自重) | 常時・鉛直 |
| P | 積載荷重 | 常時・鉛直(人・家具など) |
| S | 積雪荷重 | 短期(多雪区域では長期も) |
| W | 風圧力 | 短期・水平 |
| K | 地震力 | 短期・水平 |
固定荷重 G:建物そのものの重さ
構造体(柱・梁・床・壁)の自重に、仕上げ材・設備などの重さを加えたものです。単位体積重量 × 体積、または単位面積重量 × 面積で拾います。
| 材料・部位 | 重さの目安 |
|---|---|
| 鉄筋コンクリート | 24 kN/m³ |
| コンクリート(無筋) | 23 kN/m³ |
| 鋼材 | 78.5 kN/m³(カタログの単位重量 kg/m を使用) |
| RCスラブ(t=150+仕上げ) | 約 4.5〜5.5 kN/m² |
例:300×600のRC大梁の自重 0.3 × 0.6 × 24 ≒ 4.3 kN/m
積載荷重 P:人や物の重さ(用途で決まる)
人・家具・書類・機器などの重さで、室の用途ごとに建築基準法施行令第85条に最低値が定められています。重要なのは、同じ室でも検討対象によって3段階の値を使い分けることです。
| 室の用途 | ①床用(N/m²) | ②大梁・柱・基礎用 | ③地震力用 |
|---|---|---|---|
| 住宅の居室 | 1,800 | 1,300 | 600 |
| 事務室 | 2,900 | 1,800 | 800 |
| 教室 | 2,300 | 2,100 | 1,100 |
| 百貨店・店舗の売場 | 2,900 | 2,400 | 1,300 |
なぜ3段階に分かれているのか
- ①床用が最大:床スラブは狭い範囲で見るため、人や物が一か所に集中する場合を考える。
- ②架構用は平均化:大梁や柱は広い面積を支えるため、全面に最大荷重が同時に載る確率は低い。
- ③地震用が最小:地震力の計算(Qi=Ci×Wi)に使う建物全体の平均的な重さ。建物全体で見ればさらに平均化される。
POINT(試験頻出)
- 大小関係は必ず 床用 > 架構用 > 地震用。
- 「事務室の床用2,900」など代表値は暗記対象。百貨店・店舗 ≧ 事務室 > 教室 > 住宅の順も覚える。
- 倉庫業の倉庫の床は実況に応じて計算し、3,900 N/m²を下回ってはならない。
荷重の組み合わせ
拾った荷重は、検討する状況に応じて組み合わせます(一般区域の場合)。
| 状態 | 組み合わせ | 使う許容応力度 |
|---|---|---|
| 長期(常時) | G + P | 長期許容応力度 |
| 短期(積雪時) | G + P + S | 短期許容応力度 |
| 短期(暴風時) | G + P + W | |
| 短期(地震時) | G + P + K |
多雪区域では「G+P+0.7S+K(地震時)」のように積雪を組み合わせるなど、地域によって扱いが変わります。組み合わせた応力で部材を検定する流れは「許容応力度計算とは?」で解説しています。
まとめ
- 荷重はG(固定)・P(積載)・S(積雪)・W(風)・K(地震)の5種類が基本。
- 積載荷重は用途ごとに「床用>架構用>地震用」の3段階を使い分ける。
- 長期はG+P、短期はそれにS・W・Kのいずれかを加えて検討する。