構造計算の実務 更新日:2026年6月12日

固定荷重・積載荷重の拾い方|荷重の種類と組み合わせをわかりやすく解説

構造計算は「建物にどんな力が作用するか」を数え上げる荷重の拾い(荷重拾い)から始まります。地味な作業ですが、ここを間違えると後の計算がすべて狂う、実務で最も大切な工程のひとつです。

建築の荷重の全体像

記号荷重性質
G固定荷重(自重)常時・鉛直
P積載荷重常時・鉛直(人・家具など)
S積雪荷重短期(多雪区域では長期も)
W風圧力短期・水平
K地震力短期・水平

固定荷重 G:建物そのものの重さ

構造体(柱・梁・床・壁)の自重に、仕上げ材・設備などの重さを加えたものです。単位体積重量 × 体積、または単位面積重量 × 面積で拾います。

材料・部位重さの目安
鉄筋コンクリート24 kN/m³
コンクリート(無筋)23 kN/m³
鋼材78.5 kN/m³(カタログの単位重量 kg/m を使用)
RCスラブ(t=150+仕上げ)約 4.5〜5.5 kN/m²
例:300×600のRC大梁の自重 0.3 × 0.6 × 24 ≒ 4.3 kN/m

積載荷重 P:人や物の重さ(用途で決まる)

人・家具・書類・機器などの重さで、室の用途ごとに建築基準法施行令第85条に最低値が定められています。重要なのは、同じ室でも検討対象によって3段階の値を使い分けることです。

室の用途①床用(N/m²)②大梁・柱・基礎用③地震力用
住宅の居室1,8001,300600
事務室2,9001,800800
教室2,3002,1001,100
百貨店・店舗の売場2,9002,4001,300

なぜ3段階に分かれているのか

  • ①床用が最大:床スラブは狭い範囲で見るため、人や物が一か所に集中する場合を考える。
  • ②架構用は平均化:大梁や柱は広い面積を支えるため、全面に最大荷重が同時に載る確率は低い。
  • ③地震用が最小:地震力の計算(Qi=Ci×Wi)に使う建物全体の平均的な重さ。建物全体で見ればさらに平均化される。
POINT(試験頻出)
  • 大小関係は必ず 床用 > 架構用 > 地震用
  • 「事務室の床用2,900」など代表値は暗記対象。百貨店・店舗 ≧ 事務室 > 教室 > 住宅の順も覚える。
  • 倉庫業の倉庫の床は実況に応じて計算し、3,900 N/m²を下回ってはならない。

荷重の組み合わせ

拾った荷重は、検討する状況に応じて組み合わせます(一般区域の場合)。

状態組み合わせ使う許容応力度
長期(常時)G + P長期許容応力度
短期(積雪時)G + P + S短期許容応力度
短期(暴風時)G + P + W
短期(地震時)G + P + K

多雪区域では「G+P+0.7S+K(地震時)」のように積雪を組み合わせるなど、地域によって扱いが変わります。組み合わせた応力で部材を検定する流れは「許容応力度計算とは?」で解説しています。

あわせて確認

拾った重量から地震力を求める方法は「地震力の計算方法」へ。荷重を受けた梁の応力の求め方は「Q図・M図の描き方」をどうぞ。

まとめ

  • 荷重はG(固定)・P(積載)・S(積雪)・W(風)・K(地震)の5種類が基本。
  • 積載荷重は用途ごとに「床用>架構用>地震用」の3段階を使い分ける。
  • 長期はG+P、短期はそれにS・W・Kのいずれかを加えて検討する。