基礎構造 公開日:2026年6月14日 更新日:2026年7月22日

N値と支持層とは?ボーリング調査(標準貫入試験)の読み方

N値と支持層とは?ボーリング調査(標準貫入試験)の読み方

どんな基礎にするかは、地盤の状態で決まります。その地盤を数値で表す代表的な指標がN値、そして基礎が頼りにする固い地盤が支持層です。この記事では、N値の意味と、ボーリング調査結果(柱状図)の読み方を解説します。

N値とは:地盤の硬さの指標

N値は、地盤の硬さ(締まり具合)を表す数値です。標準貫入試験という方法で測定します。

  • 63.5kgのおもり76cmの高さから自由落下させ、サンプラーを地中に打ち込む。
  • サンプラーが30cm貫入するのに要した打撃回数がN値。
  • 回数が多い(=なかなか入らない)ほど硬い地盤で、N値が大きい。

N値の目安

N値砂質地盤粘性土
0〜4非常にゆるい非常に軟らかい
5〜10ゆるい軟らかい
10〜30中位〜締まった中位〜硬い
30〜50非常に硬い
50以上非常に硬い(支持層の目安)

一般に、砂質地盤でN値30以上、粘性土でN値20以上が、基礎を支えられる「良い地盤=支持層」の目安とされます。

支持層とは:基礎が頼る固い地盤

支持層は、建物の重さを安全に支えられる十分に固く厚い地盤の層です。支持層が浅ければ直接基礎深ければ杭基礎で支持層まで力を伝えます(基礎の選び方)。

ボーリング柱状図の読み方

ボーリング調査の結果は「柱状図」という縦長の図にまとめられます。深さごとの土の種類とN値が並びます。N値が深さとともにどう変化するかを見て、支持層の深さを判断します。

土層(柱状図) 粘性土 砂質土 支持層(砂礫) 0m 10m 18m N値 0 25 50 N≧50

図:N値が深さとともに大きくなり、N≧50の固い層(支持層)に達する様子

この例では、地表近くは軟らかい粘性土・砂質土でN値が小さく、深さ18m付近でN値50以上の砂礫層(支持層)に達しています。直接基礎では支えきれないため、この支持層までを打つ判断になります。

POINT
  • N値=30cm打ち込むのに要した打撃回数。大きいほど硬い。
  • 支持層の目安は砂でN30以上、粘土でN20以上(重要建築では砂礫N50など)。
  • 戸建てではスウェーデン式サウンディング(SWS)など簡易な調査も使われる。
実務のワンポイント

柱状図を読むときにいつも注意しているのは、玉石にサンプラーが当たって局所的にN値が跳ね上がっているケースだ。1点だけの高い値を支持層と判断せず、前後の深度の値も合わせて連続性を確認するようにしている。

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基礎の種類は「べた・布・独立基礎」、設計と耐震の関係は「基礎構造と耐震性」、全体像は「基礎構造とは?」をどうぞ。

N値から地耐力を推定する

N値は地盤の硬さを表す数値ですが、設計で直接使うのは地耐力(許容応力度)です。N値から地耐力をおおまかに見積もる目安として、次のような換算が用いられます。

N値地耐力の目安(kN/m²)採用できる基礎の例
3未満20〜30程度そのままでは不可。地盤改良・杭が前提
3〜530〜50程度べた基礎(要検討)
5〜1050〜100程度べた基礎・布基礎
10〜20100〜200程度布基礎・独立基礎
20以上200以上独立基礎も可能

※あくまで目安です。実際の設計では、土質・地下水位・基礎の大きさ・沈下量の検討を含めて算定します。

接地圧との比較(計算例)

地耐力が足りるかどうかは、建物が地盤に加える接地圧と比較して判断します。

接地圧 = 建物の総重量 ÷ 基礎の底面積

たとえば総重量600kNの2階建て住宅を、底面積60m²のべた基礎で支える場合、

接地圧 = 600 kN ÷ 60 m² = 10 kN/m²

となり、N値5程度(地耐力50kN/m²前後)の地盤でも十分に成立します。一方、同じ地盤で独立基礎(1か所あたり底面積1m²)に集中させると接地圧が跳ね上がるため、基礎形式の選択が重要になることがわかります。「地耐力が小さいなら、基礎の底面積を広げて接地圧を下げる」のがべた基礎の考え方です。

戸建てで使うSWS試験との違い

ボーリング調査(標準貫入試験)は費用がかかるため、戸建て住宅ではスウェーデン式サウンディング試験(SWS試験、現在はスクリューウエイト貫入試験)が主流です。

ボーリング調査(標準貫入試験)SWS試験
得られる値N値、土のサンプル(土質の確認可)Wsw(荷重)とNsw(半回転数)
調査深度数十m以上も可能10m程度まで
費用・期間高い・数日安い・半日程度
主な用途ビル・マンション・杭の設計戸建て住宅

SWS試験の結果からN値へ換算する経験式もありますが、土のサンプルが採れないため土質の判別が難しく、玉石や堅い層で貫入が止まると実際より良い地盤と誤判定する可能性があります。重要な建物や、深い支持層が想定される場合はボーリング調査が原則です。

よくある質問

Q1. N値が0の層があると、その地盤には建てられないのですか?

建てられないわけではありませんが、そのままでは支持地盤として使えません。N値0は自沈するほど軟らかい層を意味し、非常に軟弱な粘性土や埋土などで見られます。この場合は、地盤改良で表層を固める、あるいは杭を打って深い支持層まで力を伝える対策をとります。軟弱層が厚い場合は、圧密による長期的な沈下(圧密沈下)の検討も必要です。

Q2. 支持層は何メートル以上の厚さが必要ですか?

明確な一律の基準はありませんが、支持層と判断するには一定の厚さと連続性が必要です。薄い硬い層の下にまた軟弱層があると、その層ごと沈下するおそれがあるためです。実務では、想定される応力の影響範囲(おおむね基礎幅や杭径の数倍の深さ)にわたって十分な硬さが続いているかを、柱状図で確認します。敷地内の複数箇所で調査し、層が傾いていないかも確認します。

Q3. N値は砂と粘土で同じように評価してよいですか?

同じ数値でも意味が異なるため、同列には扱えません。砂質土のN値は締まり具合をよく反映しますが、粘性土では試験の性質上ばらつきが大きく、N値だけで強度を判断するのは危険です。粘性土では一軸圧縮試験による粘着力の測定が併用されます。支持層の目安が砂でN30以上、粘土でN20以上と異なるのも、この性質の違いによります。

まとめ

  • N値は地盤の硬さの指標。標準貫入試験で「30cm打ち込む打撃回数」を測る。
  • 支持層は基礎が頼る固い地盤。砂でN30以上、粘土でN20以上が目安。
  • 柱状図でN値の変化を読み、支持層の深さから直接基礎か杭基礎かを判断する。