層間変形角・剛性率・偏心率とは?ルート2の検討項目をわかりやすく解説
地震に強い建物の条件は、強さだけではありません。「変形しすぎない」「上下方向に偏らない」「平面的にねじれない」こと。これを数値で確かめるのが層間変形角・剛性率・偏心率で、構造計算ルート2の中心的な検討項目です。
層間変形角:各階がどれだけ傾くか
地震時に、ある階の床と上の階の床がどれだけ水平にずれるか(層間変位 δ)を、階高 h で割った値です。
層間変形角 = δ / h ≦ 1/200
δ:層間変位(一次設計用地震力による弾性変形)/ h:階高。帳壁・内外装材に著しい損傷のおそれがない場合は 1/120 まで緩和可。
図:層間変形角は「階の傾き」。大きいと仕上げ材の損傷や帳壁の脱落につながる
変形を制限する目的は、骨組みより先に外壁・サッシ・間仕切りなどの二次部材が壊れるのを防ぐことです。階高3mなら、許される層間変位は 3000/200 = 15mm。意外と小さいことがわかります。
剛性率:高さ方向のバランス(6/10以上)
各階の硬さ(層間変形角の逆数)が、全階の平均に対してどの程度かを表す指標です。
剛性率 Rs = 各階の剛性 / 全階の平均剛性 ≧ 6/10
特定の階だけ柔らかいと、地震のエネルギーがその階に集中して層崩壊を起こします。典型例が、1階だけ壁のないピロティ形式(駐車場マンションなど)。1995年阪神・淡路大震災では1階が潰れる被害が多発しました。剛性率6/10を下回る場合は、ルート3(保有水平耐力計算)で安全性を直接確認する必要があります。
偏心率:平面のバランス(15/100以下)
建物の重心(重さの中心)と剛心(硬さの中心)のずれを表す指標です。
偏心率 Re = 偏心距離 e / 弾力半径 ≦ 15/100
e:重心と剛心の距離。剛心=水平力に抵抗する要素(壁・ブレース)の配置の中心。
地震力は重心に作用し、建物は剛心を中心に回転しようとします。両者がずれていると建物はねじれて、剛心から遠い側の柱・壁に変形が集中します。ブレースや耐震壁を片側に寄せて配置すると偏心が大きくなるため、平面的にバランスよく配置することが大切です。
POINT(試験頻出)
- 数値の暗記:層間変形角 1/200(緩和1/120)、剛性率 6/10以上、偏心率 15/100以下。
- 剛性率は「上下方向のバランス」、偏心率は「平面方向のバランス」。
- 剛性率・偏心率を満たせない場合は、ルート3で保有水平耐力を確認すればよい(Fes係数で割増)。
あわせて確認
これらの検討がどのルートで必要になるかは「許容応力度計算とは?構造計算ルートの全体像」、地震力の求め方は「地震力の計算方法」をどうぞ。
まとめ
- 層間変形角(δ/h≦1/200)は二次部材を守るための変形制限。
- 剛性率(≧6/10)は「柔らかい階」を作らないための高さ方向のバランス指標。ピロティに注意。
- 偏心率(≦15/100)は「ねじれ」を防ぐための平面バランス指標。壁・ブレースは偏りなく配置する。