構造形式・材料 更新日:2026年6月12日

RC造・S造・SRC造・木造の違いとは?特徴と使い分けを徹底比較

建物の構造種別は、大きくRC造(鉄筋コンクリート造)・S造(鉄骨造)・SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)・木造の4つに分かれます。それぞれの得意・不得意を知ることが、構造計画の第一歩です。

RC造:重くて硬い、住宅・中層建物の定番

鉄筋を組んでコンクリートを打ち込む構造。圧縮に強いコンクリート引張に強い鉄筋が役割分担する合理的な複合材料です。

  • 長所:剛性が高く揺れにくい。遮音性・耐火性・耐久性に優れる。形が自由(曲面も可能)。
  • 短所:自重が大きい(基礎・地盤への負担大)。大スパンが苦手(一般に梁スパン6〜8m程度)。工期が長く、ひび割れ・乾燥収縮の管理が必要。
  • 主な用途:マンション、学校、庁舎、中低層の事務所。

S造:軽くて粘り強い、大スパンと高層の主役

工場で製作した鋼材(H形鋼・角形鋼管など)を現場で組み立てる構造です。

  • 長所:強度とじん性(粘り)が高い。軽いので大スパン・高層に有利(梁スパン10〜20mも可能)。工場製作のため品質が安定し、工期が短い。
  • 短所:火災に弱く耐火被覆が必要(鋼材は約500℃で強度が半減)。錆への防錆処理が必要。細い部材は座屈に注意。揺れ(振動)を感じやすい。
  • 主な用途:超高層ビル、体育館、工場、倉庫、店舗。

SRC造:鉄骨の周りに鉄筋コンクリート

鉄骨の骨組を鉄筋コンクリートで包んだ構造。RCの剛性とSの粘りを併せ持ち、かつては高層マンションの主流でした。

  • 長所:強度・剛性・じん性のバランスが最も高い。柱を細くできる。
  • 短所:施工が複雑でコスト・工期がかかる。近年は高強度コンクリートの進歩でRC造に置き換わり、採用は減少傾向。
  • 主な用途:高層マンション、下層階が大空間の複合ビル。

木造:軽くて加工しやすい、低層の定番

  • 長所:軽い(地震力は建物重量に比例するため有利)。加工性・断熱性がよく、コストが低い。炭素を固定するため環境面でも注目され、CLT等による中高層木造も増加中。
  • 短所:防火・防腐・防蟻の対策が必要。強度のばらつき(節・含水率)がある。接合部の設計が重要。
  • 主な用途:戸建て住宅、低層アパート、保育園、近年は中規模オフィスも。

4構造の比較表

項目木造S造RC造SRC造
自重軽い ◎やや軽い ○重い △重い △
スパン小 △大 ◎中 ○中〜大 ○
剛性(揺れにくさ)低〜中高 ◎高 ◎
じん性(粘り)接合部による高 ◎設計による高 ◎
耐火性対策必要被覆必要 △高 ◎高 ◎
工期短 ◎短 ○長 △最長 ✕
コスト低 ◎高 △
POINT(覚え方)
  • 地震力は重さに比例する(地震力の算定)。「軽い木造・S造は地震力が小さく、重いRC造は剛性で固める」という対比で整理。
  • スパンを飛ばすならS造、揺れと音を抑えるならRC造、その両立がSRC造、コストと環境なら木造。

使い分けの実務感覚

  • マンション:遮音性重視 → RC造(超高層はRC造 or 一部SRC造)。
  • 事務所ビル:無柱空間と工期 → S造が主流。
  • 体育館・工場:大スパン → S造(トラス・山形ラーメン)。
  • 戸建て・低層:コストと施工性 → 木造。
  • 実際には「下層RC+上層木造」「コアRC+床S造」など混構造も多く使われます。
あわせて確認

材料の硬さ(ヤング係数)の違いは「応力度とひずみ度とは?」、架構形式の選び方は「ラーメン構造とブレース構造」をどうぞ。

まとめ

  • RC造は剛性・遮音・耐火、S造は大スパン・じん性・工期、SRC造はその複合、木造は軽さとコスト。
  • 地震力は重さに比例。構造種別の選択は「重さ」と「スパン」の要求で大きく決まる。
  • 用途・規模・コスト・工期を総合して選び、混構造という選択肢もある。