構造形式・材料 更新日:2026年6月12日

耐力壁とは?役割と配置のポイントをわかりやすく解説

耐力壁とは、建物に作用する地震や風の水平力に抵抗する壁のことです(RC造では耐震壁とも呼びます)。同じ「壁」でも、間仕切りのための壁(非耐力壁・雑壁)とは構造上の役割がまったく違います。

耐力壁と非耐力壁の違い

項目耐力壁非耐力壁(雑壁・帳壁)
役割水平力に抵抗する構造部材空間の仕切り・外装
撤去・開口勝手に撤去・開口できない比較的自由
RC耐震壁、木造の筋かい入り壁・構造用合板壁ALCパネル、石膏ボード間仕切り

リフォームで「この壁は抜けません」と言われるのが耐力壁です。ブレースが斜材で水平力に抵抗するのに対し、耐力壁は壁全体がせん断力で抵抗します。薄い壁でも面としての剛性は非常に高く、少ない枚数で大きな水平力を負担できます。

RC造の耐震壁

  • 柱・梁に囲まれた壁(付帯ラーメンつきの壁)が代表的。厚さ12cm以上などの規定がある。
  • 剛性が非常に高いため、地震力の大半を耐震壁が負担する。壁の量が多いほど建物は揺れにくい。
  • 開口がある場合は、開口の大きさ(開口周比)に応じて剛性・耐力を低減して評価する。
  • 壁式構造(壁式RC造)は柱・梁を使わず耐力壁と床だけで構成する形式で、低層マンションの定番。

木造の耐力壁:壁倍率と壁量計算

木造在来軸組工法では、耐力壁の強さを壁倍率(0.5〜5.0)で表します。倍率1.0は「壁長1mあたり1.96kNの水平力に抵抗できる」壁です。

耐力壁の仕様壁倍率の例
筋かい 30×90(片側)1.5
筋かい 45×90(片側)2.0
構造用合板 大壁仕様2.5
筋かい45×90たすき掛け4.0

4号建築物(小規模木造)では、壁量計算で「必要壁量(床面積×係数、見付面積×係数)≦ 存在壁量(壁長×壁倍率の合計)」を確認します。これは簡易化された構造計算ルートの一種と考えられます。

配置のポイント:量だけでなくバランス

  • 平面バランス:耐力壁が片側に偏ると重心と剛心がずれ、地震時に建物がねじれる(偏心率)。南面に開口を集めがちな住宅で起きやすい。四隅・外周にバランスよく配置するのが基本。
  • 上下の連続性(直下率):上階の耐力壁の直下に壁がないと、力の流れが床で寸断される。壁直下率は60%以上が目安とされる。
  • 量の確保:必要量ぎりぎりではなく、余裕(1.25〜1.5倍)を持たせるのが耐震等級2・3の考え方。
POINT
  • 耐力壁は「量」と「配置バランス」と「上下の連続性」の3点セットで考える。
  • 1階だけ壁が少ない建物(ピロティ)は剛性率の問題で大地震に弱い。
  • 壁倍率5.0が上限なのは、壁が強すぎると柱の引抜きや基礎が先に壊れるため。接合部(ホールダウン金物)とセットで考える。
あわせて確認

水平力に抵抗する仕組みの比較は「ラーメン構造とブレース構造」、バランスの定量評価は「層間変形角・剛性率・偏心率」をどうぞ。

まとめ

  • 耐力壁は水平力に抵抗する構造上の壁。非耐力壁とは役割が違い、勝手に撤去できない。
  • RC造では耐震壁が地震力の大半を負担。木造は壁倍率×壁長の壁量計算で確認する。
  • 量・平面バランス(偏心)・上下の連続性(直下率)の3点で計画する。