構造力学の基礎 更新日:2026年6月12日

断面二次モーメントとは?意味と計算方法を図解でわかりやすく解説

断面二次モーメントは、部材の「曲げにくさ」を表す断面性能です。構造力学・構造設計のあらゆる場面に登場する、最も重要な値のひとつです。

この記事では、断面二次モーメントの意味、公式、計算例、そして混同しやすい断面係数との違いまでを順に解説します。

断面二次モーメントの意味

同じ材料・同じ長さの梁でも、断面の形によって曲げに対する強さ(変形しにくさ)は大きく変わります。たとえば定規を曲げるとき、平らに寝かせた状態では簡単に曲がりますが、縦に立てるとほとんど曲がりません。

この「断面の形による曲げにくさの違い」を数値で表したものが断面二次モーメント I です。値が大きいほど曲げにくい(曲げ剛性が高い)断面ということになります。

POINT

断面二次モーメントは「中立軸から遠い位置にどれだけ断面積が分布しているか」で決まります。同じ断面積でも、中立軸から遠くに材を配置するほど I は大きくなります。H形鋼のフランジが上下に離れているのはこのためです。

長方形断面の公式

b、成(高さ)h の長方形断面の、強軸まわりの断面二次モーメントは次式で求められます。

中立軸(図心) b(幅) h(成)

図:長方形断面。中立軸(図心を通る軸)まわりの曲げにくさが I = bh³/12

I = bh³ / 12 I:断面二次モーメント(mm⁴)/ b:断面の幅(mm)/ h:断面の成・高さ(mm)

注目すべきは、成 h が3乗で効くという点です。幅を2倍にしても I は2倍にしかなりませんが、成を2倍にすると I は8倍になります。梁を曲げに強くしたいなら、幅を広げるより成を大きくするほうが圧倒的に効率的です。

計算例:幅300mm × 成600mmのRC梁

I = 300 × 600³ / 12 = 5.4 × 10⁹ mm⁴

仮にこの梁を横に寝かせる(幅600mm × 成300mm)と、I = 600 × 300³ / 12 = 1.35 × 10⁹ mm⁴ となり、同じ断面なのに曲げにくさは1/4になってしまいます。

主な断面の公式一覧

断面の形状断面二次モーメント I備考
長方形(幅b × 成h)bh³ / 12中立軸=図心を通る水平軸
正方形(一辺a)a⁴ / 12どの図心軸まわりでも同じ
円形(直径D)πD⁴ / 64方向によらず一定
中空長方形(BH³ − bh³) / 12外形から内空を差し引く

断面係数との違い

断面二次モーメント I とよく混同されるのが断面係数 Z です。役割の違いを押さえましょう。

  • 断面二次モーメント I:たわみ(変形)の計算に使う。「曲げにくさ」の指標。
  • 断面係数 Z:曲げ応力度の計算(σ = M / Z)に使う。「壊れにくさ」の指標。

長方形断面では Z = bh² / 6 で、I を縁までの距離 h/2 で割った値(Z = I / (h/2))に一致します。Z の意味と計算方法は「断面係数とは?曲げ応力度の計算方法」で詳しく解説しています。

あわせて確認

断面性能の計算は無料の断面性能計算ツールで検算できます。数値を入れるだけで I・Z・断面積・断面二次半径が求められます。

まとめ

  • 断面二次モーメントは断面の「曲げにくさ」を表す値(単位:mm⁴)。
  • 長方形断面では I = bh³/12。成 h が3乗で効くため、梁は成を大きくするのが効率的。
  • たわみの検討には I、応力度の検討には断面係数 Z を使う。