構造形式と耐震 公開日:2026年6月15日 更新日:2026年7月6日

構造材料の種類と特徴|木材・コンクリート・鉄骨の比較と使い分け

構造材料の種類と特徴|木材・コンクリート・鉄骨の比較と使い分け

構造材料とは、建物の骨組み(構造体)をつくり、自重や地震・風・積雪などの外力に対して安全に力を伝える材料のことです。日本の建築で使われる主な構造材料は、木材・コンクリート・鋼材(鉄骨)の3つで、それぞれ強さ・重さ・粘り強さ・耐火性が大きく異なります。構造設計では、この性質の違いを踏まえて建物の規模・用途に合った材料を選び、部材の断面や接合方法を決めていきます。ここでは材料そのものの特徴を比較します(構造形式での比較は「RC造・S造・SRC造・木造の違い」をどうぞ)。

この記事の要点
  • 主な構造材料は木材・コンクリート・鋼材の3つで、強さ・重さ・耐火性が大きく異なる。
  • 木は軽く加工しやすいが燃えやすい、コンクリートは圧縮に強いが引張に弱い、鋼材は強く粘り強いが座屈や錆に注意が必要。
  • 建物の規模・用途に応じて材料を使い分け、SRC造のように組み合わせることもある。

3つの構造材料の特徴

材料強み弱み
木材軽い・加工しやすい・調湿・低コスト燃えやすい・腐朽/蟻害・ばらつき
コンクリート圧縮に強い・耐火・耐久・遮音・安価引張に弱い・重い・乾燥収縮
鋼材(鉄骨)強い・粘り強い・大スパン・均質熱に弱い(要被覆)・錆・座屈・高コスト

性質の比較(目安)

項目木材コンクリート鋼材
密度(t/m³)約0.4〜0.7約2.3約7.85
ヤング係数(kN/mm²)約7〜10約21〜33約205
引張方向で差・節に弱い弱い(鉄筋で補う)強い
圧縮中程度強い強い(座屈に注意)
耐火低い(燃える)高い低い(被覆が必要)
POINT:軽さと剛性

鋼材は木やコンクリートよりはるかに強く剛(ヤング係数が大きい)ですが、重く座屈しやすい面もあります。木材は軽く地震力(重量に比例)を小さくできます。コンクリートは圧縮に強く引張に弱いため、引張を鉄筋に負担させて使います(鉄筋コンクリート)。

なぜ材料ごとに設計の考え方が違うのか

木材・コンクリート・鋼材は、単に強さの数値が違うだけでなく、ばらつきの大きさや壊れ方も異なります。木材は天然素材のため節や繊維方向によって強度が大きくばらつき、許容応力度は控えめに設定されます。鋼材は工場生産で品質が均質なため材料としての安全率は比較的小さくできますが、細長い部材は座屈によって急に耐力を失う弱点があります。コンクリートは圧縮には強くても引張力にはほとんど耐えられないため、引張を鉄筋に負担させる鉄筋コンクリート(RC)という組み合わせが生まれました。材料ごとの弱点を理解し、互いに補い合う組み合わせを選ぶことが構造設計の基本的な考え方です。

使い分け

  • 木材:戸建て住宅・小規模建築に多く使われる。軽量で地震力を抑えやすく、加工性・コスト・温かみに優れる。
  • コンクリート(RC):マンション・公共建築など中層の建物に多い。耐火・遮音・耐久性が求められる用途に向く。
  • 鋼材(S造):大スパン・高層・工場・倉庫などに使われる。強度が高く、工場加工で工期を短縮しやすい。
  • 組み合わせ:鉄骨を鉄筋コンクリートで包むSRC造、コンクリートと鉄筋のRCなど、長所を組み合わせる構造形式も多い。
あわせて読みたい

構造形式の比較は「RC・S・SRC・木造の違い」、各材料は「鋼材の種類」「コンクリート」「木材の比重と密度」をどうぞ。

よくある質問

Q1. 木造は鉄骨造やRC造より地震に弱いのですか?

一概には言えません。木造は建物自体が軽いため、建物の重さに比例する地震力を小さく抑えられる利点があります。耐力壁の配置と接合部の設計を適切に行えば、木造でも十分な耐震性を確保できます。逆に重いRC造は地震力が大きくなる分、太い柱や壁で剛性と耐力を確保する設計になります。

Q2. 鉄骨造にはなぜ耐火被覆が必要なのですか?

鋼材そのものは不燃材料ですが、火災の高温にさらされると強度・剛性が急激に低下し、変形が進みやすくなります。そのため主要な柱や梁には耐火被覆(吹付けロックウールや耐火塗料など)を施し、火災時の鋼材の温度上昇を遅らせて建物の崩壊を防ぎます。

実務のワンポイント

耐震補強の現場に立ち会うと、鋼材の粘り強さと木材のばらつきの違いを肌で感じます。同じ「壊れる」でも鋼材は変形しながら耐えるのに対し木材は急に折れることがあるため、補強方法を選ぶときは材料の壊れ方の違いを必ず施工者に説明するようにしています。

まとめ

  • 主な構造材料は木材・コンクリート・鋼材。強さ・重さ・耐火性が大きく異なる。
  • 木は軽い、コンクリートは圧縮・耐火に強い、鋼材は強く粘り強い。
  • 材料ごとに強度のばらつきや壊れ方が違うため、設計の考え方も変わる。
  • 適材適所で使い分け、SRC・RCのように組み合わせることも多い。