木造(W造) 公開日:2026年6月14日 更新日:2026年7月22日

木材の比重と密度|樹種別一覧と荷重計算

木材の比重と密度|樹種別一覧と荷重計算

木材の比重密度は、重さ・硬さ・強さの目安になる基本的な性質です。比重とは水を基準にしたときの相対的な重さの比、密度とは単位体積あたりの質量のことで、樹種によって大きく異なります。木造の自重計算や樹種選定の際に欠かせない数値で、同じ寸法の部材でも樹種が違えば重さも強さも変わってきます。

この記事の要点
  • 密度(kg/m³)=比重×1000で換算できる。
  • 木材は測定条件により気乾比重・全乾比重・生材比重など複数の値がある。
  • 比重が大きい樹種ほど硬く重く、強度も高い傾向がある。

比重と密度の関係

密度(英語でdensity)は単位体積あたりの質量(kg/m³)、比重(specific gravity)は水の密度を1としたときの比です。水が1000kg/m³なので、密度(kg/m³)=比重 × 1000の関係です。木材では通常気乾状態の「気乾比重」を使います。

比重にはいくつかの種類がある

木材は水分を含む多孔質の材料なので、比重は測定条件によって値が変わります。用途に応じて主に次の3つが使い分けられます。

種類内容
気乾比重大気中で自然乾燥させた気乾状態での比重。荷重計算で最も一般的に使う
全乾比重水分をほぼ完全に除いた全乾状態での比重。乾燥材の基準値として使う
生材比重伐採直後、水分を多く含んだ状態の比重。運搬重量の検討などに使う

含水率が高いほど比重の値は大きくなります。同じ樹種でも、生材の比重は気乾比重よりかなり大きくなる点に注意します。

注意

「比重」の値だけを見て樹種を比較するときは、気乾比重・全乾比重のどちらの数値かを必ず確認しましょう。カタログや文献によって基準が異なることがあります。

樹種によって比重が違う理由

針葉樹(スギ・ヒノキなど)と広葉樹(ナラ・ケヤキなど)で比重が大きく異なるのは、細胞壁の厚さと年輪の詰まり方が違うためです。木材は多数の細胞が集まってできており、細胞壁が厚く緻密な樹種ほど比重は大きくなります。また年輪の中でも、成長が遅い時期にできる緻密な部分(晩材)は密度が高く、成長が早い部分(早材)は密度が低いため、年輪の詰まった木材ほど比重が高くなる傾向があります。

樹種別の気乾比重・密度(目安)

樹種気乾比重密度(kg/m³)
スギ約0.38約380
ヒノキ約0.41約410
ヒバ約0.41約410
ベイマツ約0.50約500
アカマツ約0.53約530
ナラ約0.68約680
ケヤキ約0.69約690

一般に比重が大きい木ほど硬く強い傾向があります。針葉樹(スギ・ヒノキ)は軽く、広葉樹(ナラ・ケヤキ)は重い傾向です。

荷重計算への使い方

POINT

木材の自重は体積 × 密度で求めます(詳しい計算例は→重さ計算)。構造計算では、この自重を固定荷重として見込みます。密度は含水率で変わるため、条件に応じた値を使います。運搬時の重量やトラック積載量を検討するときは、体積をトン単位で扱うm³→t換算が便利です。

よくある質問

Q1. 比重が大きい木材ほど良い木材ですか?

一概には言えません。比重が大きいほど強度や耐久性は高い傾向がありますが、その分重くなり加工もしにくくなります。用途に応じて、軽く扱いやすいスギ・ヒノキと、硬く重いケヤキ・ナラを使い分けます。

Q2. 密度と強度にはどんな関係がありますか?

一般に密度が高い木材ほど基準強度も高くなる傾向がありますが、樹種固有の性質もあるため密度だけで強度は決まりません。構造計算では、樹種・等級ごとに定められた基準強度を用います。

あわせて読みたい

木材の重さ計算」「m³→t換算」「木材の許容応力度」「気乾状態」をどうぞ。

実務のワンポイント

木造の自重を拾うとき、カタログに載っている比重の数値が気乾比重か全乾比重かを確認せずに使うと、荷重を過小評価してしまうことがあります。樹種選定の打合せでは、必ずどちらの基準の数値かを聞き返すようにしています。

比重と強度の関係(図解)

木材の比重と強度の関係 気乾比重 強度 0.30.4 0.50.60.7 スギ 0.38 ヒノキ 0.44 ベイマツ 0.50 ナラ 0.65 ケヤキ 0.69 比重が大きい=細胞壁が詰まっている=強い、というおおよその関係がある
比重は木材の「中身の詰まり具合」を表す。細胞壁の物質そのものの比重はどの樹種でも約1.5で、違いは隙間(空隙)の量から生まれる。

木材の細胞壁をつくっている物質(セルロース・リグニン)の比重は、樹種を問わずほぼ1.5で一定です。ではなぜスギ(0.38)とケヤキ(0.69)で差が出るのかというと、細胞の中の空洞がどれだけ多いかが違うからです。スギは空洞が多くスカスカ、ケヤキは細胞壁が厚く詰まっている——この違いがそのまま比重と強度の差になります。

荷重計算での具体的な使い方

構造計算で木材の比重が必要になるのは、建物の自重(固定荷重)を計算するときです。

計算例:スギ集成材の梁 105×300×4,000mm の重さ
体積 = 0.105 × 0.300 × 4.000 = 0.126 m³
密度(気乾比重0.38)= 380 kg/m³
質量 = 0.126 × 380 = 約48 kg
重量(荷重)= 48 × 9.8 ≒ 約470 N = 0.47 kN
用途使う値備考
固定荷重の算定気乾比重(含水率15%)木造の床・屋根の自重に含める
木造の重量拾い簡易的に 600 N/m²程度木造の軸組の自重の目安
運搬・積算生材の比重(気乾の1.3〜1.8倍)乾いていない材は重い
クレーンの揚重計画実重量(安全側に生材で)過小評価は事故につながる
耐火・断熱の検討密度が熱伝導率に影響比重が小さいほど断熱性は高い
「軽いこと」は木造の最大の武器

スギの密度は約380kg/m³で、コンクリート(2,400kg/m³)の約1/6、鋼材(7,850kg/m³)の約1/20です。地震力は建物の重さに比例するため、軽い木造は同じ地震でも受ける力が小さくて済みます。
木造住宅が細い柱で成立するのは、木が特別に強いからではなく、そもそも支えるべき重さが小さいからです。強度/重量の比(比強度)で見れば、木材は鋼材に匹敵する優れた材料といえます。
逆にいえば、木造に重い屋根(瓦)を載せると地震力が増え、必要な壁量も増えます。屋根の軽量化が耐震改修の定番メニューになっているのはこのためです。

まとめ

  • 密度(kg/m³)=比重×1000。木材は気乾比重を使うのが基本。
  • 比重には気乾比重・全乾比重・生材比重があり、条件で値が変わる。
  • スギ0.38・ヒノキ0.41・ベイマツ0.50・ケヤキ0.69などが目安。
  • 比重が大きいほど硬く強い傾向。自重=体積×密度で計算する。