鉄骨造(S造) 公開日:2026年6月14日 更新日:2026年7月22日

鋼材の種類とは?用途・材質の特徴と記号(SS・SN・SM材の違い)

鋼材の種類とは?用途・材質の特徴と記号(SS・SN・SM材の違い)

鉄骨造(S造)に使う鋼材には、用途や性質に応じてさまざまな種類があります。鋼材は記号(SS・SN・SMなど)で区別され、それぞれ規格・材質・用途が異なります。この記事では建築でよく使う鋼材の種類を整理します。

鋼材の記号の意味

建築構造用の鋼材は、頭のアルファベットで種類がわかります。代表的な3つがSS・SN・SMです。

記号正式名称特徴
SS一般構造用圧延鋼材最も一般的で安価。溶接性の保証がなく、化学成分の規定がゆるい。例:SS400
SN建築構造用圧延鋼材建築専用に整備。降伏点の上限・降伏比などを規定し耐震に適する。例:SN400・SN490
SM溶接構造用圧延鋼材溶接性を考慮した鋼材。橋梁などにも。例:SM400〜SM570

数字(400・490など)は引張強さの目安(N/mm²級)を表します。SS400なら引張強さ400N/mm²級です。

SS・SN・SM材の違い(くわしく)

  • SS材:流通量が多く安価だが、降伏点の上限や溶接性が保証されない。地震で塑性変形を期待する主要部材には不向きとされる。
  • SN材:1994年に制定された建築専用規格。A種(溶接しない部位)・B種(一般、降伏比・シャルピー値を規定)・C種(板厚方向の特性も保証。ダイアフラム等)に分かれる。現在の建築鉄骨の主流。
  • SM材:溶接性を重視した鋼材で、強度バリエーションが豊富(SM490Y・SM570など)。

用途と材質の特徴

用途よく使う鋼材
柱・梁などの主要構造部材SN400B・SN490B(重要部位はC種)
二次部材・間柱・小梁などSS400・SN400
角形鋼管の柱(コラム)STKR・BCR・BCP
高強度が必要な大スパン高張力鋼(SM570など)
POINT

現在の建築鉄骨は、耐震性に配慮したSN材が主流です。SS材は二次部材など、SM材は溶接を伴う部位で使い分けられます。

実務のワンポイント

若手が描いた図面をチェックすると、二次部材のつもりでSS400を指定した柱が、実は地震時に塑性化を期待する主要部材だったということがあります。記号だけで安心せず、その部材が構造上どんな役割を担うのかを必ず確認するようにしています。

あわせて読みたい

規格の全体像は「JIS鋼材一覧」、普通鋼と特殊鋼の関係は「普通鋼とは」、鉄骨材料の基礎は「鉄骨の材料・耐火被覆」をどうぞ。

鋼材記号の読み方(SN490B の例)

鋼材の記号は、規格・強度・種別が並んだ「読める情報」です。もっともよく使うSN490Bを分解してみましょう。

鋼材記号の読み方 SN 490 B 規格の種類 建築構造用圧延鋼材 (SS・SM もここ) 引張強さ 490 N/mm² 級 数字が大きい=強い 種別(SN材のみ) A・B・C の3種 B=一般的な主要部材 記号を読めば「どの規格の・どのくらい強い・どの種別の鋼材か」がわかる
鋼材記号は「規格+引張強さ+種別」の組み合わせ。SN490Bなら建築構造用・引張強さ490N/mm²級・B種となる。

SN材のA種・B種・C種の使い分け

SN材は同じ強度でも、要求性能によってA・B・Cの3種に分かれます。図面で種別を書き間違えると、必要な性能を満たさない鋼材が入ってしまうので注意が必要です。

種別保証される性能使う部位
A種降伏点・引張強さのみ。溶接性・塑性変形性能は保証されない溶接せず、塑性化も想定しない部材(小梁・間柱など)
B種A種に加え、降伏点の上限・降伏比・炭素当量(溶接性)・シャルピー衝撃値を規定柱・大梁など主要構造部材(もっとも一般的)
C種B種に加え、板厚方向の絞り値(ラメラテア対策)を規定板厚方向に引張力を受ける部位(通しダイアフラム、ベースプレートなど)

B種で規定される降伏比(降伏点÷引張強さ)は、地震時の粘り強さに直結します。降伏比が低いほど、降伏してから破断までの余裕が大きく、建物が粘って倒壊しにくくなります。C種の板厚方向の絞りは、溶接時に板が層状に割れる「ラメラテア」を防ぐための規定です。

設計で使う基準強度F値

構造計算では、鋼材の種類ごとに定められた基準強度Fを使って許容応力度を求めます。代表的な値は次のとおりです。

鋼材基準強度F(N/mm²)長期許容引張応力度(F/1.5)
SS400・SN400・SM400235約157
SN490・SM490325約217

※板厚が40mmを超える場合はF値が低減されます。SN490はSN400に比べF値が約1.4倍で、同じ力に対して部材を細くできる一方、材料単価は高くなります。

よくある質問

Q1. SS400とSN400はどちらも400ですが、何が違いますか?

引張強さの級は同じ400N/mm²級ですが、保証される性能が違います。SS400は化学成分の規定がゆるく、降伏点の上限や溶接性が保証されません。SN400は建築専用規格で、B種以上なら降伏点の上限・降伏比・炭素当量・シャルピー衝撃値が規定され、地震時に安定して塑性変形します。主要構造部材にはSN材を使うのが基本です。

Q2. SN材のC種はどんなときに指定しますか?

板の厚み方向に引張力がかかる部位に使います。代表例が柱と梁の仕口部に入る通しダイアフラムです。ここは梁フランジから引っ張られる力が板厚方向に作用するため、通常の鋼材では溶接部近くで層状に割れるラメラテアが起こる可能性があります。C種は板厚方向の絞り値が保証されており、これを防げます。

Q3. 鋼材の記号にある「Y」や「W」は何を意味しますか?

SM490Yの「Y」は降伏点を高めたタイプ(Yield point)を表します。またSMA材の「A」は耐候性鋼(Atmospheric corrosion resisting)で、表面に緻密なさびの層をつくって内部の腐食進行を抑えるため、無塗装で使える場合があります。記号の追加文字は性能の違いを示しているので、拾い出しのときは必ず確認します。

まとめ

  • 建築鉄骨の鋼材は記号(SS・SN・SM)で区別され、数字は引張強さ級を表す。
  • SS=一般・安価、SN=建築専用で耐震向き、SM=溶接性重視。
  • 主要部材はSN材が主流。用途に応じて使い分ける。