エコセメントとは?意味・用途・JIS・強度
エコセメントとは、都市ごみの焼却灰や下水汚泥の焼却灰などを主原料に再利用してつくられるセメントです。「エコロジー(環境)+セメント」を組み合わせた名前のとおり、本来は埋立処分される廃棄物を資源として活用する、環境配慮型のセメントとして日本で開発されました。この記事では、エコセメントの意味、JIS規格上の2つの種類(普通・速硬)とそれぞれの用途、強度の特徴、使用時の注意点を整理します。
- エコセメントは都市ごみ・下水汚泥の焼却灰を主原料とする環境配慮型セメント。
- JIS R 5214で「普通エコセメント」「速硬エコセメント」の2種類が規定される。
- 普通エコセメントは普通ポルトランドと同等の強度で、鉄筋コンクリートにも使える。
エコセメントの意味と背景
「エコロジー(環境)+セメント」の名のとおり、本来は廃棄物となる都市ごみ焼却灰・下水汚泥焼却灰を主原料とし、クリンカ1トンあたり廃棄物等を一定量(約500kg)以上使用してつくられます。資源循環に貢献します。
背景にあるのは、都市部のごみ処分場の逼迫です。ごみを焼却しても焼却灰は残り、その多くは埋立処分されてきました。一方、セメントの主原料である石灰石や粘土と、焼却灰の化学成分(カルシウム・シリカ・アルミナなど)は近い組成を持っています。そこで焼却灰をセメント原料として高温で焼成し、資源に変える仕組みが実用化されました。焼成の過程でダイオキシン類は分解され、重金属も適切に処理されるため、製品としての安全性が確保されています。
JIS規格と種類
エコセメントはJIS R 5214(エコセメント)に規定され、2種類があります。ポルトランドセメント(JIS R 5210)とは別の独立した規格である点がポイントです。
| 種類 | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| 普通エコセメント | 塩化物イオン量が少なく、普通ポルトランドに近い性質 | 一般の鉄筋コンクリート構造体にも使用可 |
| 速硬エコセメント | 早強性。塩化物イオンを比較的多く含む | 無筋・二次製品・地盤改良など(鉄筋には注意) |
2種類を分けているのは塩化物イオンの量です。都市ごみには塩分を含むものが多く、焼却灰由来の塩化物がセメントに残ります。普通エコセメントは製造過程で塩化物を除去して量を抑えたもの、速硬エコセメントは塩化物を積極的に残して早強性を持たせたもの、と整理できます。
強度と使用上の注意
普通エコセメントは、普通ポルトランドセメントと同等の強度発現が得られ、構造用コンクリートにも使えます。速硬エコセメントは早強性がある一方、塩化物イオンが多めなので、鉄筋の腐食を避けたい部位では使い方に注意します。
普通エコセメントは構造体にも使えますが、塩化物イオンや原料由来の品質に配慮が必要です。用途に応じて種類を選び、規格・基準に従って使用します。
塩化物イオンは鉄筋の表面の不動態被膜を壊し、さび(腐食)を進行させる原因になります。速硬エコセメントを鉄筋コンクリートに安易に使わないこと、普通エコセメントでも適用範囲は最新のJASS5等で確認することが大切です。
実務での用途
普通エコセメントは、コンクリート二次製品(境界ブロック、平板、擁壁部材など)を中心に、公共工事の無筋・鉄筋コンクリートにも採用実績があります。速硬エコセメントは、早く固まる性質を生かして小規模な二次製品や地盤改良などに使われます。グリーン購入法の特定調達品目にも位置づけられており、環境配慮を重視する公共工事で指定されるケースがある、という点も知っておくと実務で役立ちます。
よくある質問
Q1. エコセメントは普通のセメントより弱いのですか?
普通エコセメントは普通ポルトランドセメントと同等の強度発現が得られるように規格化されており、「エコだから弱い」ということはありません。用途の制限は強度よりも塩化物イオン量によるものです。
Q2. 混合セメントとは何が違うのですか?
混合セメントは、ポルトランドセメントに高炉スラグやフライアッシュなどを混合したものです。エコセメントは原料そのものに廃棄物を使う点が異なり、規格もJIS R 5214として独立しています。
公共工事の仕様書に「エコセメント使用可」とあっても、普通か速硬かまでは明記されていないことがあります。鉄筋コンクリート部材に使う際は、必ず塩化物イオン量の試験成績書を確認するようにしています。
まとめ
- エコセメントは都市ごみ・下水汚泥の焼却灰を主原料にした環境配慮型セメント。
- JIS R 5214で普通エコセメントと速硬エコセメントの2種類。違いは塩化物イオン量。
- 普通エコは普通ポルトランド同等の強度で構造体にも使える。速硬は塩化物に注意。
- 二次製品や公共工事を中心に、資源循環の観点から採用が広がっている。