コンクリートの種類7選|用途別の特性
コンクリートの種類とは、使用する骨材や要求される性能・施工条件に応じたコンクリートの区分のことです。ひとくちにコンクリートといっても、建物の規模や部位、環境条件によって求められる性能は異なり、それに応じてさまざまな種類が使い分けられています。この記事では、建築の実務でよく登場する代表的な7種類を、特性と使いどころで整理します。
- コンクリートは骨材・強度・施工性・使用環境などの違いで種類が分かれる。
- 基本は普通コンクリート。特別な要求があるときに軽量・高強度などを採用する。
- 強度・軽さ・施工性・環境という4つの視点で整理すると選び方がわかりやすい。
用途別7種の早見表
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 普通コンクリート | 最も一般的。普通骨材を使用 | 柱・梁・スラブなど全般 |
| 軽量コンクリート | 軽量骨材で自重を軽減 | 床・屋根・改修 |
| 高強度コンクリート | 水セメント比を下げ高強度化 | 超高層・大スパン |
| 高流動コンクリート | 締固め不要の自己充填性 | 過密配筋・複雑形状 |
| マスコンクリート | 大断面。温度ひび割れに配慮 | 厚い基礎・大断面部材 |
| 水密コンクリート | 水を通しにくい | 水槽・地下・水路 |
| 流動化コンクリート | 流動化剤で一時的に軟らかく | ポンプ圧送・施工性改善 |
各種類の特徴をひとことで
早見表の7種類について、特徴をもう少し補足します。
- 普通コンクリート:砂・砂利や砕石といった普通骨材を用いた最も標準的なコンクリートです。特別な指定がなければ、建築工事の柱・梁・スラブ・壁はほぼこれでつくられます。
- 軽量コンクリート:軽量骨材を使って単位容積質量を小さくしたものです。建物の自重を減らせるため、床や屋根、既存建物の改修などで使われます。
- 高強度コンクリート:水セメント比を小さくし、高性能な混和剤を用いて強度を高めたものです。超高層建物の下層階の柱など、大きな軸力を受ける部材に採用されます。
- 高流動コンクリート:材料分離を起こさずに自ら型枠のすみずみまで行きわたる自己充填性をもち、締固めをほとんど必要としません。過密配筋や複雑な形状の部材に向きます。
- マスコンクリート:断面の大きい部材に打ち込むコンクリートで、水和熱による温度上昇と温度ひび割れへの配慮が必要です。
- 水密コンクリート:水セメント比を小さくするなどして水を通しにくくしたもので、水槽・地下外壁・水路などに使われます。
- 流動化コンクリート:あらかじめ練り混ぜたコンクリートに流動化剤を添加し、一時的に流動性を高めたものです。単位水量を増やさずに施工性を改善できます。
選び方の考え方
種類を選ぶときは、「その部材に何が要求されているか」を軸に考えると整理しやすくなります。
このほか、初期強度が高い早強コンクリート、鉄筋を入れない無筋コンクリート、仕上げを兼ねる打ち放しコンクリートなどもあります。
特殊なコンクリートは万能ではありません。たとえば軽量コンクリートは自重を減らせる一方で、普通コンクリートに比べ乾燥収縮やヤング係数の面で注意が必要です。長所と短所をセットで押さえましょう。
実務ではどう指定するか
実際の設計では、構造図や特記仕様書に、コンクリートの種類とあわせて設計基準強度・スランプ・粗骨材の最大寸法などを部位ごとに指定します。工事ではこの指定に基づいてレディーミクストコンクリート(生コン)を発注し、受入時にスランプ試験や空気量試験などで品質を確認します。なお、レディーミクストコンクリートのJIS規格上の区分と、この記事のような用途別の呼び方は視点が異なるため、混同しないようにしましょう。
よくある質問
Q1. 普通コンクリートと軽量コンクリートの違いは何ですか?
最大の違いは骨材です。普通コンクリートは砂利・砕石などの普通骨材、軽量コンクリートは人工軽量骨材などを使い、単位容積質量を小さくしています。
Q2. 迷ったらどれを選べばよいですか?
基本は普通コンクリートです。自重・強度・施工性・水密性などに特別な要求が生じたときに、初めて他の種類を検討するのが実務の流れです。
Q3. 寒中・暑中コンクリートも「種類」ですか?
寒中・暑中コンクリートは材料の違いというより、気温条件に応じた施工上の区分です。詳しくは「コンクリートの温度管理」で解説しています。
特記仕様書に軽量コンクリートや高流動コンクリートを安易に指定する若手を見かけますが、対応できる骨材や配合実績は生コン工場によって差があり、納期や価格に直結します。特殊な種類を指定する前に、発注予定の工場に対応可否を確認させるようにしています。
RC造の基礎は「鉄筋コンクリート造とは?」、コンクリートの性質は「コンクリートの弱点」をどうぞ。
まとめ
- コンクリートは用途に応じて普通・軽量・高強度・高流動・マス・水密・流動化などに分かれる。
- 強度・軽さ・施工性・環境などの要求で種類を選ぶ。
- 基本はまず普通コンクリート。特殊な要求があれば各種を採用する。
- 設計図書では種類とあわせて設計基準強度やスランプなどを指定する。