鉄骨造(S造) 更新日:2026年6月14日

H形鋼の断面二次モーメント|強軸と弱軸の違い

断面二次モーメント(I)は、曲げにくさ(曲げ剛性)を表す断面性能です。H形鋼は向きによってIが大きく変わり、強軸弱軸を区別することがとても重要です。

この記事について

本記事の数値は代表的なJIS呼称の例で、学習用の概要です。設計・積算では必ず最新のJIS G 3192や鋼材ハンドブック(形鋼表)の正確な値を使用してください。

強軸(Ix)と弱軸(Iy)の違い

H形鋼を曲げる向きによって、断面二次モーメントは2種類あります。

強軸(x軸)Ix弱軸(y軸)Iy
曲げの向きせい方向に曲げる(フランジが上下)幅方向に曲げる
大きい小さい
使い方梁はこの向きで使う横座屈・2軸曲げで効く

材料が中立軸から遠い上下フランジに集まる強軸はIが大きく、フランジが中立軸の近くに来る弱軸はIが小さくなります。同じH形鋼でも、せいを縦にして使う(強軸で曲げる)と何倍も曲げに強いのはこのためです。

求め方の公式

強軸:Ix = [ B·H³ − (B − t1)·(H − 2·t2)³ ] / 12
弱軸:Iy = [ 2·t2·B³ + (H − 2·t2)·t1³ ] / 12 H:せい/B:フランジ幅/t1:ウェブ厚/t2:フランジ厚

強軸は「外形BHの矩形から、ウェブ両脇の空白を引く」考え方、弱軸は「フランジ2枚+ウェブ」を足し合わせる考え方です。

代表サイズの一覧(強軸Ix・弱軸Iy)

呼称(mm)Ix(cm⁴)Iy(cm⁴)Ix/Iy
H-400×200×8×13(細幅)237001740約13.6
H-300×300×10×15(広幅)204006750約3.0
H-400×400×13×21(広幅)6660022400約3.0

細幅はIx/Iyが大きく強軸に偏った断面(梁向き)、広幅はIyも比較的大きく2方向に強い断面(柱向き)であることが数値からわかります(→広幅・中幅・細幅)。

POINT

梁は強軸で曲げを受けるように架けるのが原則。弱軸方向は横座屈に弱いため、横補剛で圧縮フランジを支えます。

あわせて読みたい

そこから出す「断面係数」、代表値の「断面性能一覧」、基礎理論の「断面二次モーメントとは?」をどうぞ。

まとめ

  • 断面二次モーメントIは曲げにくさ。H形鋼は強軸Ixと弱軸Iyで大きく異なる。
  • Ix=[BH³−(B−t1)(H−2t2)³]/12、Iy=[2t2·B³+(H−2t2)t1³]/12。
  • 梁は強軸で使う。細幅は梁向き、広幅は2方向に強く柱向き。