H形鋼の重量の計算方法(断面寸法から単位重量)
H形鋼の重量(単位重量=1mあたりの重さ kg/m)は、断面寸法から計算できます。形鋼表を見れば単位重量はすぐわかりますが、仕組みを理解しておくと、規格外の断面や検算にも応用できます。積算や自重の確認に役立つ手順を、計算例つきで解説します。
- 単位重量は「断面積A(cm²)×0.785」というシンプルな式で求められる。
- 断面積はフランジ2枚+ウェブに分けて近似計算する。
- 近似値はフィレット分だけ実値よりわずかに小さい。正確な数値は形鋼表を使う。
考え方:断面積 × 密度
鋼材の単位重量は、断面積に鋼の密度(7.85 g/cm³)を掛けて求めます。長さ1m=100cmなので、断面積を cm² で表すと次の簡単な式になります。
密度0.785はどこから来るのか
鋼(普通鋼)の密度は、材質によらずほぼ一定で7.85 g/cm³という値が使われます。これは1cm³あたりの重さが7.85gという意味で、水(1 g/cm³)の約7.85倍の重さです。長さ1mの部材の体積は「断面積(cm²)×100(cm)」なので、これに密度をかけてグラム単位を求め、さらにkgに換算(÷1000)すると、まとめて「断面積×0.785」という係数になります。この0.785という数字はH形鋼に限らずすべての鋼材(鋼板・鉄筋・鋼管など)の単位重量計算で共通して使えるため、覚えておくと便利です。
手順1:断面積を求める
H形鋼の断面積は、上下フランジ2枚とウェブに分けて足します(フィレットは無視した近似)。
フランジ部分は「幅B×厚みt2」の長方形が上下2枚、ウェブ部分は「フランジを除いた高さ(H−2t2)×厚みt1」の長方形1枚と考えます。フランジとウェブの位置関係が分かっていれば、単純な長方形の足し算で近似できます。
手順2:密度を掛ける
求めた断面積(cm²)に 0.785 を掛ければ単位重量(kg/m)になります。単位をmm²で計算した場合は、先に100で割ってcm²に直してから掛けるか、mm²のまま計算するなら係数を0.00785に置き換えます。
計算例:H-200×100×5.5×8
H=200、B=100、t1=5.5、t2=8(mm)で計算します。
= 1600 + 184×5.5 = 1600 + 1012 = 2612 mm² = 26.1 cm²
単位重量 = 26.1 × 0.785 ≒ 20.5 kg/m
この近似では約20.5kg/mですが、形鋼表の実際の値は21.3kg/mです。差はフランジ付け根のフィレット(丸み)の分です。概算には近似式、正確な積算には形鋼表の値を使い分けます。フィレットの断面積は全体の数%程度ですが、大量の鋼材を扱う積算では無視できない差になります。
実務での使いどころ
- 積算:鋼材の総重量から材料費・運搬費を見積もる際の基礎データになる。
- 自重の計算:構造設計で建物の固定荷重(自重)を積み上げる際、梁・柱の単位重量から部材重量を求める。
- 揚重計画:クレーンで部材を吊る際、単位重量×長さで1本あたりの重さを把握し、クレーンの能力を確認する。
Q1. mm単位のまま計算してもいいですか?
可能です。断面積をmm²で求めた場合は、密度の係数を0.00785(kg/(mm²·m)相当)に置き換えて掛ければ、同じ結果(kg/m)が得られます。単位を混同しないよう、どちらかに統一して計算するのがポイントです。
Q2. フィレットを考慮した正確な計算はできますか?
フィレット部分も含めた正確な断面積の計算式はJISの形状規定に基づいて求められますが、実務では近似計算よりも形鋼表に掲載された公式値を参照するのが一般的です。近似式は「値の妥当性を検算する」用途で使うと効果的です。
代表値の一覧は「断面性能・単位重量一覧」、断面性能の計算は「断面係数の求め方」、フランジ・ウェブの位置関係は「フランジとウェブ」、計算ツールでも確認できます。
積算の数字を突き合わせていて驚いたのは、近似式の断面積計算とフィレットを含む実測値の差が、大量の鋼材を扱う積算では無視できない重量差になることでした。概算段階の重さと発注段階の重さは、別の精度で見るようにしています。
まとめ
- H形鋼の単位重量は「断面積A(cm²) × 0.785」で求める。
- 断面積は A=2(B·t2)+(H−2t2)·t1 で近似計算できる。
- 0.785は鋼の密度7.85g/cm³から導かれ、H形鋼以外の鋼材にも共通して使える。
- 近似値はフィレット分だけ実値より小さい。積算など正確さが必要な場面では形鋼表を使う。