H形鋼の読み方・寸法表記の読み方
H形鋼は、図面や形鋼表で「H-400×200×8×13」のように表記されます。これは4つの寸法を並べて示した規格の呼び方(呼称)で、慣れないと何を表しているのか分かりにくいものです。この4つの数字が何を表すかを理解すれば、図面や見積書に書かれたサイズをひと目で読み取れるようになり、断面性能の把握や納まりの検討もスムーズになります。
- H形鋼は「H-せい×幅×ウェブ厚×フランジ厚」の順で表記する
- 最初の数字(せい)が梁の曲げ強さにもっとも効く
- 呼称寸法と実寸法が異なる系列があるので注意が必要
寸法表記の読み方
H形鋼の表記は「H − せい × フランジ幅 × ウェブ厚 × フランジ厚」の順です。
- せい(H):断面の高さ。最初の数字。梁では曲げ強さに最も効く。
- フランジ幅(B):上下の板の幅。2番目の数字。
- ウェブ厚(t1):垂直な板の厚さ。3番目の数字。
- フランジ厚(t2):上下の板の厚さ。4番目の数字。
なぜこの順番で並べるのか
H形鋼の表記が「せい→幅→ウェブ厚→フランジ厚」の順になっているのは、構造設計で重要度の高い寸法から並べる慣習によるものです。梁として使う場合、断面の強さは主にせいで決まり、次いで幅が効きます。板厚(ウェブ厚・フランジ厚)は同じせい・幅の中でのバリエーションを区別する情報という位置づけのため、後ろに置かれています。この並び順を覚えておくと、初めて見る呼称でもおおよその断面の姿を想像しやすくなります。
2つの数字だけの表記
「H-400×200」のように板厚を省いて呼ぶこともあります。これはせい400・幅200のシリーズという意味で、同じせい・幅でも板厚違いが複数あるため、正確には板厚まで指定します。見積もりや打ち合わせの初期段階でおおまかなサイズ感を伝える際には2つの数字だけで呼ぶこともありますが、発注・製作段階では必ず4つの数字を確認します。
呼称寸法と実寸法の違い
H形鋼の呼び方(呼称寸法)と実際の寸法は、一部の系列でわずかに異なります。たとえば「H-300×150」は実寸法がせい298mmのことがあります(中幅・広幅に多い)。図面の納まりや製作では、形鋼表の実寸法を確認することが大切です。
呼称寸法だけを頼りに他部材との取り合いを検討すると、数mm単位のずれで納まりが合わなくなることがあります。特に接合部の詳細図を描く際は、呼称ではなく実寸法を使うよう習慣づけましょう。
よくある質問
Q1. 「H-400×200×8×13」のように4つの数字がすべて偶数寄りなのはなぜですか?
圧延ロールの規格や製造上の都合で、寸法がキリの良い値に設定されている系列が多いためです。ただし系列によっては奇数mmや小数点を含む寸法もあるため、必ず形鋼表で正確な値を確認してください。
Q2. カタログの「質量」欄も呼称の一部として見てよいですか?
質量(単位重量)は呼称そのものではなく、断面積から計算される付随情報です。ただし発注時にはサイズとあわせて重量も確認しておくと、搬入計画やクレーン能力の検討がスムーズになります(→断面性能・単位重量一覧)。
H形鋼の基礎は「H形鋼とは」、性能値は「断面性能・単位重量一覧」、形鋼全般の読み方は「形鋼の読み方」をどうぞ。
詳細図を描く若手によく言うのは、呼称寸法をそのまま鵜呑みにしないでほしいということです。中幅・広幅の系列では呼称と実せいが数mmずれることがあり、そのわずかな差が他部材との取り合いで納まらない原因になります。
4つの数字は断面のどこを指すか(図解)
間違えやすいポイント
| まちがい | 正しい理解 |
|---|---|
| t1がフランジ厚だと思う | t1はウェブ厚。数字が小さいほうがt1と覚えると確実 |
| H-200×200は正方形の鋼管 | せい200・幅200の広幅H形鋼。中身は詰まっていない |
| H-400×200と400×200×8×13は別物 | 同じ。板厚を省略しているだけ(標準品はサイズごとに板厚が決まっている) |
| 数字が大きいほど必ず強い | 向きが重要。強軸・弱軸を取り違えると性能は数分の一になる |
もう一つ実務で効くのが「同じせいでも重さが違う」という点です。H-400×200×8×13は66.0kg/m、H-390×300×10×16は107kg/mで、せいはほぼ同じでも重量は1.6倍。鉄骨は重量で積算するため、必要な性能を満たす中でもっとも軽い断面を選ぶのがコスト設計の基本になります。断面性能と単位重量は断面性能一覧で確認してください。
まとめ
- H形鋼は「H-せい×幅×ウェブ厚×フランジ厚」で表記する。
- 最初の数字がせい(高さ)で、梁の曲げ強さに最も効く。
- 板厚を省いた2数字表記もあるが、発注・製作は4数字で確認する。
- 呼称寸法と実寸法が異なる系列があり、実寸は形鋼表で確認する。