構造力学の基礎 公開日:2026年6月15日 更新日:2026年7月3日

はりの公式一覧|反力・せん断力・曲げモーメント・たわみ

はりの公式一覧|反力・せん断力・曲げモーメント・たわみ

はりの公式とは、支持条件(片持ち・単純支持・固定など)と荷重条件(集中荷重・等分布荷重など)の組み合わせごとに、反力・せん断力・曲げモーメント・たわみを直接計算できるようにまとめた式のことです。このページでは代表的な17種類のはり(梁)について、構造モデルの図をクリックすると公式が表示されます。構造力学の学習、建築士試験の対策、設計の概算チェックにご利用ください。

この記事の要点
  • 片持ち梁・単純梁・両端固定・はね出し梁など17種類の公式を図から選べる。
  • 支持条件が変わると、同じ荷重でも曲げモーメントとたわみは大きく変わる。
  • まず「単純梁の wL²/8」「片持ち梁の PL」などの代表値を押さえるのが近道。
記号

P=集中荷重、w=等分布荷重(単位長さあたり)、L=スパン、a・b=荷重位置(左から a・右から b、a+b=L)、E=ヤング係数、I=断面二次モーメント。たわみは下向きを正とした最大値の大きさです。

ご注意

本ページの公式は学習・検算の参考用です。たわみは EI を一定とした弾性範囲の値で、不静定ばり(一端固定・両端固定)やはね出しの一部はモデルの仮定により値が変わります。実際の設計は法令・基準にもとづき責任ある技術者の判断で行ってください。

支持条件で公式はどう変わるか

同じスパン・同じ荷重でも、はりの端部がどう支えられているかで最大曲げモーメントとたわみは大きく変わります。等分布荷重 w を受ける場合の代表値を比べると、支持条件の影響がよく分かります。

支持条件最大曲げモーメント最大たわみ
片持ち梁w·L² / 2(固定端)w·L⁴ / 8EI
単純梁w·L² / 8(中央)5·w·L⁴ / 384EI
一端ピン・他端固定w·L² / 8(固定端)約 w·L⁴ / 185EI
両端固定w·L² / 12(端部)w·L⁴ / 384EI

端部の拘束が強いほど曲げモーメントが端部に移り、たわみが小さくなることが読み取れます。両端固定のたわみは単純梁の5分の1です。片持ち梁は支点が1か所しかないぶん条件が最も厳しく、単純梁の同じ荷重に比べて曲げモーメントで4倍、たわみでは大幅に大きくなります。反力のつり合いから自分で導けるのは静定ばり(片持ち梁・単純梁・はね出し梁)までで、一端固定や両端固定などの不静定ばりは変形の条件も使って解くため、公式として覚えておくと便利です。

公式の覚え方のコツ

17種類すべてを丸暗記する必要はありません。まず次の4つを確実に覚え、ほかは「係数がどう変わるか」で整理するのがおすすめです。

  • 単純梁+中央集中荷重:M = P·L / 4δ = P·L³ / 48EI
  • 単純梁+等分布荷重:M = w·L² / 8δ = 5·w·L⁴ / 384EI
  • 片持ち梁+先端集中荷重:M = P·Lδ = P·L³ / 3EI
  • 片持ち梁+等分布荷重:M = w·L² / 2δ = w·L⁴ / 8EI

次元(単位のかたち)にも注目してください。曲げモーメントは集中荷重なら P·L、等分布荷重なら w·L² に係数が付く形、たわみは P·L³/EI または w·L⁴/EI に係数が付く形と決まっています。式の形を覚えておけば、係数をど忘れしても検算で誤りに気づけます。

実務・試験での使いどころ

実務では、構造計算ソフトの結果が妥当かを確かめる検算や、部材断面の当たりを付ける概算に公式を使います。たとえばスパン6m の単純梁に等分布荷重 w=10kN/m が作用するなら、最大曲げモーメントは M=10×6²/8=45kN·m とすぐに出せます。この値と必要な許容応力度から断面係数の目安を逆算すれば、初期段階で梁せいの見当が付きます。一級・二級建築士や構造設計一級建築士の試験でも、ここに挙げた公式は頻出です。

Q1. 公式はどこまで暗記すべきですか?

静定ばりは反力の求め方Q図・M図の描き方を理解していればその場で導けます。暗記が必須なのは、導出に時間のかかる不静定ばり(両端固定の w·L²/12 など)とたわみの係数です。

Q2. たわみの公式の EI とは何ですか?

E はヤング係数(材料の硬さ)、I は断面二次モーメント(断面の曲げにくさ)で、積 EI を曲げ剛性と呼びます。EI が大きいほどたわみは小さくなります。詳しくは「たわみの計算方法」をご覧ください。

実務のワンポイント

両端固定や一端固定の公式は魅力的に小さい値を出しますが、現場の接合部が本当に「完全固定」かは別問題です。ピン接合のつもりで納めた鉄骨仕口が、施工誤差やボルト摩擦で半固定寄りに効いてしまい、想定より大きな端部モーメントが生じた例を実務で見てきました。公式は支持条件の前提とセットで使うものだと肝に銘じています。

まとめ

  • はりの公式は「支持条件×荷重条件」の組み合わせごとに反力・Q・M・たわみを直接求められる式。
  • 端部の拘束が強いほどたわみは小さくなり、最大曲げモーメントは端部側に生じる。
  • まず単純梁と片持ち梁の代表4公式を確実に覚え、ほかは係数の違いで整理する。
  • 実務ではソフトの検算・断面の概算に、試験では頻出公式として活用できる。
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意味と導出は「反力の求め方」「せん断力図・曲げモーメント図」「たわみの計算方法」、断面性能は断面性能 計算ツールでどうぞ。