構造形式・材料 更新日:2026年6月13日

鉄骨造(S造)とは?特徴・構造形式・接合・耐火被覆をまとめて解説

鉄骨造(S造、Steel)は、工場で製作した鋼材を現場で組み立てる構造です。強くて粘り強く、軽いという特性から、超高層ビル・大スパンの工場や体育館・店舗まで幅広く使われます。この記事では構造設計の視点でS造を体系的にまとめます。構造種別全体の比較は「RC造・S造・SRC造・木造の違い」をご覧ください。

重量鉄骨造と軽量鉄骨造

種別鋼材の厚さ主な用途
重量鉄骨造厚さ6mm超(H形鋼・角形鋼管など)中高層ビル・工場・大スパン建築
軽量鉄骨造厚さ6mm以下(軽量形鋼)戸建て・アパート(プレハブ系)

S造の特徴(長所・短所)

  • 長所:高強度・高じん性(粘り)。軽いので大スパン・高層に有利。工場製作で品質が安定し工期が短い。
  • 短所:火災に弱く耐火被覆が必要(鋼材は約500℃で強度が半減)。錆対策(防錆)が必要。細い部材は座屈に注意。揺れ・振動を感じやすい。

主な架構形式

  • ラーメン構造:柱梁を剛接合。無柱の大空間がつくれる。中高層ビルの定番(詳しく)。
  • ブレース構造:斜材の軸力で水平力に抵抗。工場・倉庫で経済的。
  • トラス構造:部材を三角形に組み、軸力で大スパンを飛ばす。体育館・屋根架構など。

接合方法

接合特徴
高力ボルト接合部材を強く締め付け、摩擦力で力を伝える。現場接合の主流で信頼性が高い。
溶接接合母材を溶かして一体化。工場溶接が基本。柱梁接合部などで使用。
普通ボルト接合小規模・仮設など限定的な用途。

柱梁の接合部は地震時に大きな力が集中するため、「柱・梁が壊れる前に接合部が壊れない」ように設計します(保有耐力接合)。

設計上の注意点

  • 座屈の検討:細長い圧縮材・梁の横座屈に注意。細長比で評価し、必要に応じて補剛材を入れる。
  • 耐火被覆:耐火建築物では、吹付けロックウール・耐火塗料・耐火ボードで鋼材を保護する。
  • 防錆:塗装・めっき・耐候性鋼などで腐食を防ぐ。
  • 変形・振動:軽量で揺れやすいため、たわみや歩行振動・風揺れ(居住性)の検討が重要。
あわせて読みたい

鋼材の強度の考え方は「応力度とひずみ度・ヤング係数」、構造種別の比較は「RC造・S造・SRC造・木造の違い」、RC造は「鉄筋コンクリート造(RC造)とは?」をどうぞ。

まとめ

  • S造は高強度・高じん性・軽量で、大スパンと高層に強い。
  • 架構はラーメン・ブレース・トラス。接合は高力ボルトと溶接が主流。
  • 弱点は耐火と錆。耐火被覆・防錆と、座屈・振動の検討が設計の鍵。