鉄骨造(S造) 公開日:2026年6月14日 更新日:2026年7月6日

普通鋼とは?意味・種類と特殊鋼との違い

普通鋼とは?意味・種類と特殊鋼との違い

普通鋼とは、合金元素をほとんど加えていない一般的な炭素鋼のことです。鉄骨造に使われるSS400・SN材・SM材はいずれも普通鋼で、建築用鋼材の大半を占めます。安価で入手しやすく、切断・穴あけ・溶接といった加工性に優れるため、柱・梁からブレース・母屋まで、建築の鉄骨はほぼ普通鋼でつくられていると言ってよいでしょう。この記事では、普通鋼の意味と種類、特殊鋼との違い、鋼の分類の全体像を整理します。

この記事の要点
  • 普通鋼=合金元素をほぼ加えない炭素鋼。SS400・SN材・SM材が代表。
  • 特殊鋼は合金元素を加えて耐食・耐熱・高強度などの性質を高めた鋼。
  • 建築鉄骨の大半は普通鋼で、価格・加工性・溶接性のバランスに優れる。

普通鋼の意味

鋼は鉄(Fe)に炭素(C)を加えた合金です。普通鋼は、炭素以外の合金元素(クロム・ニッケル・モリブデンなど)を意図的に加えていない、または微量にとどめた鋼を指します。安価で加工・溶接しやすく、量産されるのが特徴です。英語では炭素鋼を carbon steel、普通鋼に近い概念を plain steel などと表現します。

炭素量が増えるほど鋼は硬く・強くなりますが、その分もろく、溶接しにくくなります。建築構造用の普通鋼は、強度と溶接性・変形能力のバランスが取れた炭素量の少ない軟鋼(なんこう)の領域が中心です。地震時に鉄骨が粘り強く変形してエネルギーを吸収するためには、この「軟らかさ(延性)」が欠かせません。詳しくは「軟鋼とは」で解説しています。

普通鋼の種類

建築でよく使われる普通鋼の規格には、次のようなものがあります。いずれもJISに規定された圧延鋼材で、記号の数字(400・490など)は引張強さの下限値(N/mm²)を表します。

種類主な用途
一般構造用圧延鋼材SS400小規模鉄骨・二次部材
建築構造用圧延鋼材SN400・SN490建築の柱・梁(主要構造部材)
溶接構造用圧延鋼材SM400・SM490溶接性が求められる部材・橋梁など
一般構造用鋼管STK・STKR鋼管柱・トラス材など

特にSN材は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて制定された建築構造専用の規格で、降伏点の上限や降伏比などが管理されており、耐震設計との相性がよい鋼材です。各記号の詳しい意味は「鋼材の種類(SS・SN・SM)」を参照してください。

特殊鋼との違い

普通鋼に対して、合金元素を意図的に添加し、特定の性能を高めた鋼を特殊鋼と呼びます。両者の違いを整理すると次のとおりです。

普通鋼特殊鋼
合金元素ほとんど加えない目的に応じて添加
性質標準的・汎用耐食・耐熱・高強度など特化
価格安い高い
SS400・SN490ステンレス鋼・耐火鋼・合金鋼

建築で特殊鋼が登場するのは、露出部で錆びさせたくない箇所のステンレス鋼、耐火被覆を減らしたい場合のFR鋼(耐火鋼)など、明確な目的がある場面に限られます。特別な要求がなければ、コストと施工性に優れる普通鋼を選ぶのが基本です。

注意

「普通鋼だから性能が低い」というわけではありません。SN490のように基準強度の高い普通鋼もあり、建築の主要構造部はほぼ普通鋼で成立します。特殊鋼は「特定の性質に特化した鋼」であり、優劣の区分ではない点に注意してください。

合金鋼・ステンレス鋼との関係

鋼は化学成分によって大きく次のように分類されます。

  • 炭素鋼:鉄+炭素が主。普通鋼はここに含まれる。
  • 合金鋼:炭素鋼に合金元素を加えたもの。特殊鋼の中心。
  • ステンレス鋼:クロムを多く含む合金鋼の一種で、錆びにくい。

つまりSS400は普通鋼(炭素鋼)ステンレス鋼は合金鋼(特殊鋼)という関係になります。なお、高張力鋼(ハイテン)のように、成分は炭素鋼に近くても製造方法の工夫で強度を高めた鋼材もあり、普通鋼と特殊鋼の境界は用途分類として使われる面もあります。

よくある質問

Q1. 建築の鉄骨でSS400とSN400はどう使い分けますか?

主要構造部(柱・梁)には、建築構造専用に性能管理されたSN材を使うのが現在の標準です。SS400は小規模な鉄骨や胴縁・母屋などの二次部材で使われることが多くなっています。

Q2. 普通鋼は錆びますか?

錆びます。普通鋼には防錆のための合金元素が入っていないため、錆止め塗装・溶融亜鉛めっき・耐火被覆などで保護するのが前提です。錆を防ぎたい露出部にはステンレス鋼や耐候性鋼を検討します。

実務のワンポイント

主要構造部にはSN材、二次部材にはSS400、という使い分けを図面でよく見ますが、若手はその境界をなんとなくでしか理解していないことが多いです。降伏比や溶接性の管理値の違いを説明すると腑に落ちるようです。

あわせて読みたい

特殊鋼は「特殊鋼とは」、軟らかい炭素鋼は「軟鋼とは」、規格記号は「鋼材の種類」、JIS規格の一覧は「JIS鋼材一覧」をどうぞ。

まとめ

  • 普通鋼は合金元素をほぼ加えない一般的な炭素鋼。SS400・SN・SMが代表。
  • 建築鉄骨の大半は普通鋼で、価格・加工性・溶接性のバランスに優れる。
  • 特殊鋼は合金元素を加えて特定の性質を高めた鋼で、より高価。
  • SS400は普通鋼、ステンレス鋼は合金鋼(特殊鋼)の一種。