構造力学の基礎 公開日:2026年6月15日 更新日:2026年7月22日

3つの力の合力の求め方と作図手順

3つの力の合力の求め方と作図手順

3つの力の合力とは、複数の力を1つの力にまとめたときの、大きさと向きをあわせ持つ代表の力のことです。力が3つ以上になっても、力の合成の考え方は2力のときと変わりません。作図で求める方法と、計算で正確に求める方法の両方を押さえておくと、構造力学の問題を解くときに使い分けができます。

この記事の要点
  • 3つ以上の合力も、2力の合成(平行四辺形)の繰り返しで求められる
  • 示力図(力の多角形)を使うと、多くの力をまとめて作図できる
  • 正確な値は各力をx・y成分に分解し、成分ごとに合計して求める

方法1:平行四辺形を繰り返す

まず2力の平行四辺形で合力を求め、その合力と3つ目の力で再び平行四辺形をつくる、という手順を繰り返します。力が増えても同じ操作の繰り返しです。ただし、力の数が多くなるほど作図の手間が増え、誤差も蓄積しやすくなるため、実務では次の示力図がよく使われます。

方法2:示力図(力の多角形)

POINT

各力の矢印を、向きと大きさを保ったまま順々に頭としっぽをつないでいきます。最初の矢印のしっぽ(始点)から最後の矢印の頭(終点)に引いた矢印が合力です。これを「示力図(力の多角形)」といいます。多くの力をまとめて作図でき、力がつり合う場合は多角形が閉じます。

示力図の利点は、力の作用点や配置が複雑な場合でも、各力の大きさと向きさえわかれば矢印をつなぐだけで合力の見当がつけられる点です。力のつり合いを視覚的に確認したいときにも役立ちます。

方法3:成分計算

正確に求めるには、各力をx・y成分に分解して合計します。

Rx = F₁x + F₂x + F₃x Ry = F₁y + F₂y + F₃y
R = √(Rx² + Ry²) θ = tan⁻¹(Ry / Rx)

作図はおおよその見当をつけるのに向いていますが、構造計算で使う正確な数値は、この成分計算によって求めるのが基本です。力の数がいくつに増えても、x成分・y成分をそれぞれ足し合わせるだけでよいので、手計算でも扱いやすい方法です。

計算例

たとえば、F₁(x=3, y=4)、F₂(x=-1, y=2)、F₃(x=2, y=-1)の3つの力がはたらく場合を考えます。

Rx = 3 +(−1)+ 2 = 4 Ry = 4 + 2 +(−1)= 5
R = √(4² + 5²) = √41 ≒ 6.4 θ=tan⁻¹(5/4)で、Rxを基準にした角度が求まる
注意

成分計算をするときは、力の向きの符号(プラス・マイナス)を取り違えないことが重要です。座標軸の正の向きをあらかじめ決めておき、各力の向きに応じて符号をそろえてから合計しましょう。符号を間違えると、合力の大きさだけでなく向きも誤ってしまいます。

Q1. 力が4つ、5つと増えても同じ方法で求められますか?

はい。示力図であれば矢印をさらに追加してつなげばよく、成分計算であればx成分・y成分の合計にもう1つの力の成分を加えるだけです。力の数が増えても手順自体は変わりません。

Q2. 作図と成分計算で答えが違う場合はどうすればよいですか?

作図はどうしても定規や分度器の精度に左右されるため、多少の誤差が生じます。設計や試験で正確な数値が必要な場合は、成分計算による結果を優先し、作図はあくまで確認・検算の手段として使うのが基本です。

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実務のワンポイント

構造計算ソフトの出力を検算するとき、私はまず示力図で大まかな向きの見当をつけてから成分計算の符号を追います。試験では作図だけで済むことも多いですが、実務では符号の取り違えが一番怖いミスだと感じています。

示力図(力の多角形)を図で理解する

示力図による3力の合成 元の3つの力 示力図(順につなぐ) P₁ P₂ P₃ 始点 P₁ P₂ P₃ 終点 R 力を「向きと長さを変えずに」順につなぎ、始点と終点を結ぶ = 合力R
示力図は平行四辺形を何度も描く手間を省く方法。力がいくつあっても、順につないで始点と終点を結ぶだけでよい。

示力図の便利な点は、力が閉じたら合力ゼロ=つり合っていると一目でわかることです。始点と終点が重なる(多角形が閉じる)とき、その力の集まりはつり合っています。トラスの節点法で「節点に集まる力がつり合う」ことを確認するのに、この考え方がそのまま使えます。

表で整理する成分計算(実務向き)

力の数が3つ以上になったら、次のように表にして整理するのが最も確実です。計算過程が残るので、後から見直すときもミスを見つけやすくなります。

大きさ P角度 θ
(水平から反時計回り)
Px = PcosθPy = Psinθ
P₁50 kN+50.00.0
P₂40 kN60°+20.0+34.6
P₃30 kN150°−26.0+15.0
合計+44.0+49.6
R = √(44.0² + 49.6²) = √(1,936 + 2,460) ≒ 66.3 kN
θ = tan⁻¹(49.6 / 44.0) ≒ 48.4°(水平から反時計回り)
角度は「必ず同じ基準」で測る

成分計算で最も多いミスは、角度の基準がバラバラになることです。「水平右向きを0°として反時計回りに測る」と決めてしまえば、cos・sinの符号は自動的に正しくなり、自分で「これは左向きだからマイナス」と判断する必要がなくなります。表の見出しに基準を書いておくのが、ミスを減らす一番の方法です。

よくある質問

Q1. 力が4つ、5つと増えても同じ方法で求められますか?

はい。示力図なら力を順につないでいき、最後に始点と終点を結ぶだけです。成分計算なら表の行が増えるだけで手順は変わりません。力の数が増えるほど、作図より成分計算のほうが確実で速くなります。

Q2. 作図と成分計算で答えが違う場合はどうすればよいですか?

成分計算のほうを信頼してください。作図は縮尺・線の引き方・読み取りの誤差が積み重なるため、数%のずれは避けられません。作図は「答えのおおよその向きと大きさを確認する検算」として使うのが実務的な使い方です。

Q3. 示力図が閉じるとどういう意味になりますか?

力の合力がゼロ、つまりつり合っているという意味です。トラスの節点に集まる力や、静止している物体に働く力は必ず閉じた多角形になります。逆に閉じない場合は、始点と終点を結んだ矢印が合力(不つり合い力)です。

まとめ

  • 3つ以上の合力は、平行四辺形の繰り返し・示力図・成分計算で求める。
  • 示力図は矢印を順につなぎ、始点から終点へ引いた矢印が合力。
  • 正確な値は成分(Rx・Ry)の合計から R=√(Rx²+Ry²)。
  • 成分計算では力の向きの符号を取り違えないよう注意する。