ビルドH鋼とは?意味・規格・重量・溶接
ビルドH鋼(ビルドアップH形鋼・BH)とは、鋼板を溶接して組み立てたH形断面の部材のことです。圧延で一体成形されるロールH形鋼と違い、せい・幅・板厚を設計に合わせて自由に設定できるため、規格サイズにない大型断面や特殊断面が必要な場面で使われます。この記事では、ビルドH鋼の意味、ロールHとの違い、寸法表記と重量計算、溶接・製作上のポイントを整理します。
- ビルドH鋼はフランジ・ウェブの鋼板を溶接して組み立てたH形鋼。図面表記はBH。
- JIS規格サイズに縛られず、寸法・板厚・材質を自由に設定できる。
- 製作の手間で割高。溶接品質の管理が性能を左右する。
意味:板を溶接して作るH形鋼
ロールH形鋼が圧延(ロール成形)で一体に作られるのに対し、ビルドH鋼はフランジ用とウェブ用の鋼板を切り出し、溶接してH形に組み立てます。「build-up(組立)」が名前の由来で、図面ではBHと表記されることもあります。寸法の表記はロールHと同様に「BH-せい×幅×ウェブ厚×フランジ厚」の順で書くのが一般的です(例:BH-900×300×16×28)。
規格:自由な寸法
ロールH形鋼はJIS G 3192の規格サイズに限られますが、ビルドH鋼は板厚・せい・幅を自由に設定できます。規格にない大せいの梁や、フランジとウェブで板厚・材質を変えた断面など、設計に合わせた最適な断面を作れるのが最大の利点です。
| ロールH形鋼 | ビルドH鋼(BH) | |
|---|---|---|
| 製法 | 圧延(一体成形) | 鋼板を溶接して組立 |
| 寸法 | JIS規格サイズ | 自由 |
| コスト | 安い(量産) | 溶接の手間で割高 |
| 用途 | 一般の柱・梁 | 大型・特殊断面 |
実務でビルドHを選ぶ典型例は、①スパンが大きく規格最大のロールHでは断面が足りない大梁、②階高の制約からせいを抑えつつフランジを厚くしたい梁、③外法一定にできない特殊な取り合いの部材、などです。逆に、規格サイズで足りる一般的な柱・梁にあえてBHを使うとコストが上がるだけなので、「ロールHで足りないときにBH」が基本の考え方になります。
重量の計算
重量は、設定した板厚・寸法から断面積を求め、断面積 × 0.785(kg/m)で計算します(→重量の計算方法)。板厚を自由に選べるため、必要強度に対して無駄のない重量にできます。
たとえばBH-900×300×16×28なら、フランジ2枚(30cm×2.8cm×2枚=168cm²)とウェブ(84.4cm×1.6cm=135cm²)で断面積は約303cm²。単位重量は303×0.785≒約238kg/mと概算できます(0.785は鋼の密度7,850kg/m³をcm²・m単位に直した係数)。
溶接と製作のポイント
フランジとウェブの接合は、自動溶接(サブマージアーク溶接など)による隅肉溶接が一般的です。溶接部の品質が性能を左右するため、JASS6などに基づく溶接施工・検査の管理が重要になります。
フランジとウェブの間には梁のせん断力に応じた水平せん断力が流れるため、隅肉溶接のサイズ(脚長)はこの力を伝達できるように設計します。また、溶接による熱で部材に反りや歪みが生じるため、製作工場では歪み矯正まで含めた品質管理が行われます。
よくある質問
Q1. ロールH形鋼とどちらが強いのですか?
同じ断面寸法・同じ鋼材なら強度的な優劣はありません。違いは「規格サイズか自由寸法か」「圧延一体か溶接組立か」であり、強さは断面性能と鋼材の強度で決まります。BHは断面を最適化できるぶん、同じ性能をより軽い断面で実現できることがあります。
Q2. フランジとウェブで違う鋼種を使えますか?
使えます。曲げ応力の大きいフランジに高強度鋼、ウェブに一般鋼を使う「ハイブリッド断面」も可能で、これはビルドHならではの利点です。ただし溶接性や設計上の取り扱いに注意が必要です。
製作図を承認するときは、隅肉溶接の脚長指定値が水平せん断力から計算した必要値を満たしているかを自分でも計算し直すようにしています。規格外の板厚を使うBHは工場の標準仕様に頼れないため、ミルシートで材質を個別に確認する手間も惜しまないことが大切です。
まとめ
- ビルドH鋼は鋼板を溶接して組み立てたH形部材(BH)。
- JIS規格に縛られず、寸法・板厚・材質を自由に設定できる。ロールHで足りないときに使う。
- 重量は断面積×0.785(kg/m)で概算できる。
- フランジ・ウェブは隅肉溶接で接合。溶接品質の管理が重要。