鉄筋コンクリート造(RC造) 公開日:2026年6月14日 更新日:2026年7月22日

スラッジ水とは?濃度・上澄み水と高強度コンクリート

スラッジ水とは?濃度・上澄み水と高強度コンクリート

スラッジ水とは、生コンクリート工場でミキサーや運搬車を洗った水を回収・処理した水(回収水)のうち、セメントなどの微粒分を含んだ水のことです。練混ぜ水の一部として再利用され、資源の有効活用や排水の削減に役立っています。ただし、含まれる固形分の量によっては品質に影響するため、使用にあたっては濃度の管理と用途に応じた使い分けが欠かせません。

この記事の要点
  • スラッジ水は回収水のうち微粒分(スラッジ固形分)を含む水
  • スラッジ固形分率は品質確保のためおおむね3%以下に管理する
  • 高強度コンクリートなど高品質が求められる場合は使用が制限される

意味

生コン工場では、出荷後にミキサー車のドラムや工場設備を洗浄しますが、その洗浄水をそのまま排水してしまうと環境負荷や処理コストの問題が生じます。そこで洗浄水を沈殿槽などで処理し、練混ぜ水として再利用する仕組みが一般的に取られています。この回収水は、上澄みの上澄み水と、沈殿しきらない微粒分(スラッジ固形分)を含んだスラッジ水に分けられます。

濃度(スラッジ固形分率)

POINT

スラッジ水に含まれる固形分の割合をスラッジ固形分率といい、品質のため3%以下に管理します。固形分が多いと、単位水量・強度・流動性に影響するため、濃度管理が重要です。

スラッジ固形分は主にセメント分を含むため、量が多いコンクリートに配合されると、単位水量の計算が狂ったり、練混ぜ水として計画した以上の微粉が加わることで強度・スランプに影響が出たりすることがあります。そのため生コン工場では、スラッジ水の濃度を定期的に測定し、規定値を超えないよう管理しています。

上澄み水との違い

上澄み水スラッジ水
状態スラッジを沈殿させた澄んだ上部の水微粒分(固形分)を含む水
扱いほぼ普通の水として使える固形分率を管理して使う

沈殿槽の中で、重い固形分は下に沈み、上部には比較的澄んだ水(上澄み水)が残ります。上澄み水は不純物が少ないため、上水道水に近い感覚で練混ぜ水に使えますが、スラッジ水は固形分を含むぶん、使用量や配合への影響を考慮する必要があります。

高強度コンクリートとの関係

高強度コンクリートや高品質が求められるコンクリートでは、品質を安定させるためスラッジ水の使用は制限され、上水道水や上澄み水を使うのが基本です。高強度コンクリートは水セメント比の管理がシビアであり、意図しない微粒分の混入は強度のばらつきにつながりかねないため、使用する水の種類にも通常より厳しい配慮が必要になります。

リサイクル水を使うメリットと注意点

回収水の活用は、排水処理の負担軽減や上水道使用量の削減につながり、環境面・コスト面で生コン工場にとってメリットがあります。一方で、品質を安定させるには濃度管理の徹底が前提となるため、生コン工場の品質管理体制がしっかりしているかどうかも、間接的に構造体コンクリートの品質に関わってきます。

注意

スラッジ水の使用は工場の管理下で行われるものであり、現場側で直接コントロールできるものではありません。品質に不安がある場合は、納入される生コンの試験成績書やJIS認証工場かどうかの確認を行うことが実務上の基本的な対応になります。

Q1. スラッジ水は環境に良い取り組みなのですか。

洗浄排水をそのまま流さず再利用する点で、資源の有効利用や排水負荷の低減に寄与する取り組みといえます。ただし品質管理を伴って初めて成立する仕組みである点に注意が必要です。

Q2. 現場でスラッジ水の使用有無を確認できますか。

基本的には生コン工場側の配合・品質管理の範囲ですが、必要に応じて配合計画書や工場の品質管理資料で使用状況を確認することは可能です。特に高強度コンクリートなど品質要求が厳しい場合は、事前に工場と協議しておくとよいでしょう。

実務のワンポイント

スラッジ水は現場側からは見えにくい工程なので、私は品質にシビアな部材を扱う工事では、配合計画書の練混ぜ水の欄をただ確認するだけでなく、生コン工場の回収水管理の実施状況までヒアリングするようにしています。図面や仕様書には出てこない、実務者ならではの確認ポイントです。

回収水の分類(図解)

回収水は2つに分けられる 回収水 洗浄水を処理したもの 上澄み水 沈殿した上の澄んだ水 ほぼ制限なく使える スラッジ水 微粒分(スラッジ固形分)を含む 固形分率3%以下に管理 高強度コンクリートでは使用を避けるのが一般的
洗浄水を処理した回収水は、澄んだ上澄み水と微粒分を含むスラッジ水に分けられる。スラッジ水は固形分率の管理が必要。

使用にあたっての管理

項目内容
スラッジ固形分率3%以下(JIS A 5308)。定期的に濃度を測定して管理する
影響固形分が増えると、単位水量の増加・凝結時間の変動・強度のばらつきにつながる
配合上の扱いスラッジ固形分はセメント量に含めて計算する(一定の割合まで)
使用を避ける場合高強度コンクリート、プレストレストコンクリート、水中コンクリートなど品質要求が高いもの
環境対策としての意義

生コン工場では、ミキサーや運搬車の洗浄で毎日大量の排水が発生します。これをそのまま排出すれば、高アルカリ性の排水として環境負荷になり、処理コストもかかります。回収水として再利用する仕組みは、排水量の削減・処理コストの低減・水資源の節約を同時に実現するものです。ただし品質への影響があるため、固形分率の管理が前提になります。

よくある質問

Q1. スラッジ水を使うと強度は下がりますか?

固形分率が管理されていれば、実用上の影響はほとんどありません。JIS A 5308では固形分率3%以下と定められており、この範囲では品質への影響が許容できるとされています。ただし固形分が増えると単位水量が増加する傾向があり、また凝結時間にも影響するため、生コン工場では日常的に濃度を測定して管理しています。

Q2. 上澄み水とスラッジ水はどう使い分けますか?

上澄み水は微粒分をほとんど含まないため、ほぼ制限なく練混ぜ水として使用できます。スラッジ水は固形分を含むため、固形分率3%以下という制限のもとで使用します。高強度コンクリートや特殊な品質が要求されるコンクリートでは、スラッジ水の使用を避け、上澄み水または上水道水を使うのが一般的です。

Q3. なぜ高強度コンクリートにスラッジ水を使わないのですか?

品質のばらつきを最小限に抑える必要があるためです。高強度コンクリートは水セメント比が非常に小さく、わずかな水量や材料の変動が強度に大きく影響します。スラッジ水は固形分率が変動しやすく、これが単位水量や凝結に影響を与える可能性があるため、より管理された水(上水道水など)を使用します。品質の安定性を優先する判断です。

まとめ

  • スラッジ水は回収水のうち微粒分を含む水。練混ぜ水に再利用する。
  • スラッジ固形分率は3%以下に管理する。
  • 上澄み水は澄んだ水。高強度コンクリートではスラッジ水の使用を制限する。
  • 品質は生コン工場の管理体制に左右されるため、必要に応じて資料で確認する。