鉄筋コンクリート造(RC造) 公開日:2026年6月14日 更新日:2026年7月6日

打ち重ねと打ち継ぎの違い|水平打ち継ぎ・時間

打ち重ねと打ち継ぎの違い|水平打ち継ぎ・時間

打ち重ね打ち継ぎは、コンクリート工事の現場でよく混同される言葉ですが、先に打ったコンクリートが固まる前か、固まった後かという時間軸で明確に区別されます。呼び方は似ていても意味はまったく異なり、扱いを誤ると一体性のないコールドジョイントを生み、構造体の耐久性や水密性を損なう原因になります。設計段階で打ち継ぎ位置をあらかじめ計画し、施工段階では打ち重ね時間の管理を徹底することが、品質の良いコンクリート躯体をつくる基本です。

この記事の要点
  • 打ち重ねは「固まる前」に連続して打つ作業で、打ち継ぎは「固まった後」に継ぐ作業。
  • 打ち重ね時間は外気温25℃以上で120分・未満で150分以内が目安。
  • 打ち継ぎ位置はせん断力の小さい場所を選び、打継面はレイタンスを除去してから次を打つ。

打ち重ねと打ち継ぎの違い

打ち重ね打ち継ぎ
タイミング先の層が固まる前(連続)先のコンクリートが固まった後
結果一体化する継ぎ目(打継面)ができる
位置同じ部材を連続で計画した打継位置
強度・水密性低下しない(一体構造)処理が不十分だと弱点になりやすい

打ち重ねは、同じ部材を分けて打っても化学的・力学的に一体化するため、原則として構造上の弱点にはなりません。一方の打ち継ぎは、先のコンクリートが硬化した後に新しいコンクリートを打つため、境界面(打継面)が完全な一体構造にはなりにくく、せん断力・引張力・漏水に対する弱点になりやすい部分です。だからこそ、設計段階で打ち継ぎの位置をあらかじめ検討し、施工段階でその面の処理を丁寧に行う必要があります。

打ち重ね時間の規定

打ち重ねは、先の層が固まる前に行う必要があります。許容打重ね時間間隔は、外気温25℃以上で120分・未満で150分以内が目安。超えるとコールドジョイントになります。バイブレーターを下層に差し込んで一体化します。

許容打重ね時間間隔:外気温25℃以上=120分以内、外気温25℃未満=150分以内 練混ぜ開始から次の層を打ち込むまでの時間の目安(外気温により変動)

計算例:外気温28℃の日に9時00分から下層を打ち始めた場合、25℃以上の区分(120分以内)が適用されるため、11時00分までに上層の打ち重ねを終える必要があります。

水平打ち継ぎ・鉛直打ち継ぎの位置

  • 打ち継ぎ位置:応力(せん断)の小さい位置に設ける。梁・スラブはスパンの中央付近、柱・壁はスラブ・梁の上端や下端
  • 水平打ち継ぎ:上下に分けて打つ継ぎ目。打継面のレイタンスを除去し、清掃・湿潤にしてから次を打つ。
  • 鉛直打ち継ぎ:壁・スラブを平面的に分けて打つ継ぎ目。打継面には止水板を設けて漏水を防ぐことが多い。
  • 必要に応じ先付けモルタルを敷いて一体性を高める。

打ち継ぎ位置を柱脚・梁端部などの応力集中部に設けてしまうと、地震時にその面ですべりやひび割れが生じやすくなります。施工計画書(打設計画)の段階で、構造設計者と施工者が打ち継ぎ位置を共有しておくことが重要です。

打継面の処理(レイタンス除去)

打ち継ぎを行う際は、先に打ったコンクリート表面に浮き出た脆弱なレイタンスやぜい弱層を取り除き、健全な骨材が見える状態にしてから次のコンクリートを打つのが原則です。処理方法には次のようなものがあります。

  • 高圧水洗浄・ワイヤーブラシ:硬化がまだ浅い段階で、表面の脆弱層を洗い流す。
  • チッピング(目荒し):硬化後にはつり工具で表面を粗くし、付着力を高める。
  • 散水・湿潤:打ち継ぐ直前に打継面を十分に湿らせ、乾燥による水分の吸われすぎを防ぐ。

止水性が求められる地下外壁などの鉛直打ち継ぎでは、止水板(ゴム製・鋼製・膨張性など)を打継面に埋め込み、漏水経路を断つ対策も併せて行われます。

注意:よくある間違い

「打ち重ね時間さえ守れば打ち継ぎ処理は不要」という誤解が現場では起こりがちです。しかし打ち継ぎ位置を安易に決め、応力の大きい断面欠損部に継ぎ目を作ってしまう例もあるため、位置の検討と打継面の処理はセットで考える必要があります。

Q. 打ち重ねと打ち継ぎ、どちらもコールドジョイントの原因になりますか?

コールドジョイントは、本来は打ち重ねとして一体化するはずだった箇所で、時間管理の不徹底により先の層が固まり始めてから重ねてしまうことで生じます。計画的に設ける打ち継ぎとは異なり、意図しない継ぎ目である点が特徴です。

実務のワンポイント

打ち継ぎ位置を決める際、施工しやすさだけで応力の大きい断面に継ぎ目を作ってしまいそうになる場面に何度か出会いました。設計段階でスパン中央付近など応力の小さい位置を明示しておくことが重要だと感じています。

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まとめ

  • 打ち重ねは固まる前に連続して打ち一体化、打ち継ぎは固まった後で継ぎ目ができる。
  • 打ち重ねは25℃以上120分・未満150分以内。超えるとコールドジョイント。
  • 打ち継ぎは応力の小さい位置に設け、レイタンスを除去して打つ。
  • 鉛直打ち継ぎでは止水板の設置も検討し、漏水リスクを減らす。