鉄筋コンクリート造(RC造) 公開日:2026年6月14日 更新日:2026年7月22日

設計基準強度と品質基準強度の違い

設計基準強度と品質基準強度の違い

コンクリートの強度には、目的の異なる複数の「基準強度」があります。設計基準強度(Fc)品質基準強度(Fq)の違いを整理し、実際に生コンを発注する際の目標強度までの流れを見ていきます。

この記事の要点
  • 設計基準強度Fcは構造計算の基準、耐久設計基準強度Fdは耐久性から定める基準。
  • 品質基準強度Fqは、FcとFdのうち大きい方の値を採用する。
  • 実際の発注では、Fqにさらに補正値を加えた調合管理強度を目標にする。

3つの基準強度

記号名称意味
Fc設計基準強度構造設計で基準とする強度
Fd耐久設計基準強度耐久性から定める強度(計画供用期間による)
Fq品質基準強度品質管理の基準。FcとFdの大きい方

Fcは、柱・梁・壁などの部材が必要な耐力を持つかを確認するために構造計算で使う強度です。一方Fdは、中性化などの劣化が進んでも建物が計画した期間にわたり性能を保てるように、耐久性の観点から定める強度で、建物の計画供用期間(何年間その性能を維持したいか)によって値が変わります。

計画供用期間とFdの目安

計画供用期間は一般に「短期」「標準」「長期」「超長期」の4段階の級に区分され、期間が長くなるほど、必要とされる耐久設計基準強度Fdも大きくなる傾向があります。おおよその目安は次のとおりです。

計画供用期間の級期間の目安Fdの目安
短期約30年比較的小さい
標準約65年短期より大きい
長期約100年標準よりさらに大きい
超長期約200年最も大きい

具体的な数値は規準によって定められているため、設計にあたっては必ず最新のJASS5等の規定値を確認してください。

FcとFdの関係

品質基準強度 Fq = max(設計基準強度 Fc, 耐久設計基準強度 Fd) 構造で必要な強度と耐久で必要な強度の、大きい方を採用する
POINT

たとえば構造的にはFc=21で足りても、長期の耐久性でFd=30が必要なら、品質基準強度Fq=30となります。実際に調合(配合)で目標とするのは、このFqに補正を加えた強度です。

計算例:調合管理強度まで

実務では、Fqを求めた後、さらに気温による強度の伸び具合のばらつきなどを考慮した構造体強度補正値(S)を加えて、生コン工場に発注する際の目標強度である調合管理強度を決めます。

調合管理強度 = 品質基準強度 Fq + 構造体強度補正値 S Sは気温条件などに応じて設定される割増し分。現場で打込んだコンクリート(構造体コンクリート)の強度が、試験室で管理する強度よりも低く出やすいことを見込んだ値

たとえば、品質基準強度Fq=24(N/mm²)で、想定される構造体強度補正値S=3(N/mm²)であれば、調合管理強度は24+3=27(N/mm²)となります。生コン工場は、この調合管理強度を満たすように配合を設計し、出荷します。

注意点

注意

Fqは「FcとFdの大きい方をそのまま使えばよい」という単純な話に見えますが、実際に発注・管理する強度はさらに構造体強度補正値を加えたものになります。Fc・Fd・Fq・調合管理強度の違いを混同すると、必要な品質を満たさないコンクリートを発注してしまうおそれがあるため、それぞれの位置づけを正しく理解しておくことが大切です。

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実務のワンポイント

生コンの発注書を確認するとき、品質基準強度Fqの数字だけを見て終わらせないようにしています。そこに構造体強度補正値がどう乗っているかまで追わないと、現場で打ち込んだコンクリートが本当に必要な強度を満たしているかの判断がつかないためです。

発注までの流れ(図解)

図面のFcから発注までの流れ Fc(設計基準強度) 構造計算から決まる Fd(耐久設計基準強度) 計画供用期間から決まる 大きいほう Fq(品質基準強度) 構造体に必要な強度 + mSn (3 or 6) 調合管理強度 → 呼び強度を決めて発注 図面のFc24が、発注時には呼び強度27になることもある
構造計算から決まるFcと、計画供用期間から決まるFdの大きいほうがFq。これに構造体強度補正値を加えて発注する強度が決まる。

計算例で確認する

条件:Fc=24N/mm²、計画供用期間=長期(Fd=30N/mm²)、冬期施工(mSn=6N/mm²)

ステップ計算結果
① FcとFdを比較Fc 24 と Fd 30 の大きいほうFq = 30 N/mm²
② 構造体強度補正値を加算30 + 6調合管理強度 = 36 N/mm²
③ 呼び強度を選定36以上の区切りの値呼び強度 36 を発注

この例では、図面に「Fc24」と書かれていても、実際に発注するのは呼び強度36です。構造計算上の必要強度から12N/mm²も高い値になっており、その差は「耐久性の要求」と「季節による強度発現の遅れ」を見込んだものだとわかります。

なぜ差が生まれるのかを説明できるように

現場で「図面はFc24なのに、なぜ36を頼むのか」と問われることがあります。答えは①長く使う建物なので耐久性からFd30が必要、②冬季施工で構造体強度が出にくいため補正値6を加算です。この2段階を理解していれば、発注の妥当性を説明できます。逆に、これを理解せずFc24のまま発注すると、耐久性不足と冬季の強度不足という二重の問題を招きます。

よくある質問

Q1. なぜ図面のFcより高い強度を発注するのですか?

2つの上乗せがあるためです。まず、耐久性の観点から必要な強度(Fd)がFcより高い場合、Fdを採用します。次に、供試体と実際の構造体の強度差を補うため、構造体強度補正値(3または6N/mm²)を加えます。この2段階により、図面のFcより高い呼び強度を発注することになります。差の理由を説明できることが、品質管理上重要です。

Q2. 呼び強度に中間の値はありますか?

JISで定められた区切りの値(18・21・24・27・30・33・36・40…)から選びます。したがって、計算した調合管理強度が32N/mm²であれば、それ以上の区切りである33を発注します。中間の値を指定することは通常できません。生コン工場によっては特注対応が可能な場合もありますが、標準的には規格値から選定します。

Q3. Fq(品質基準強度)は誰が決めるのですか?

設計者が決めます。構造計算からFcを、計画供用期間の設定からFdを定め、その大きいほうをFqとして構造図に明記します。施工者はこのFqをもとに、施工時期に応じた構造体強度補正値を加えて調合管理強度を算出し、生コンを発注します。設計と施工の役割分担が明確になっている部分です。

まとめ

  • 設計基準強度Fcは構造設計の基準、耐久設計基準強度Fdは耐久性の基準。
  • 計画供用期間が長いほど、必要な耐久設計基準強度Fdは大きくなる傾向がある。
  • 品質基準強度Fqは、FcとFdの大きい方をとる品質管理の基準。
  • 実際の発注強度(調合管理強度)は、Fqに構造体強度補正値を加えて決める。