鉄筋コンクリート造(RC造) 公開日:2026年6月14日 更新日:2026年7月22日

側圧とは?意味・計算式とコンクリートとの関係

側圧とは?意味・計算式とコンクリートとの関係

側圧(そくあつ)とは、まだ固まらないフレッシュコンクリート型枠を横(水平方向)に押す圧力のことです。打込み中の型枠が変形・破損しないよう、型枠やセパレーター・締付け金物の強度を決めるための、施工計画上とても重要な数値です。

この記事の要点
  • 側圧はフレッシュコンクリートが型枠を横に押す圧力で、型枠設計の基本になる。
  • 打込み高さに比例する液体圧に近いが、コンクリートの凝結によりある高さで頭打ちになる。
  • 打込み速度・気温・スランプ(流動性)で大きさが変わり、これらを踏まえて型枠を計画する。

側圧の意味

打ち込んだ直後のコンクリートは液体に近い状態で、型枠を内側から外へ押し広げようとします。この水平方向の圧力が側圧です。柱や壁など縦に高く打ち込む部位ほど、下のほうにかかる側圧は大きくなります。セパレーターや型枠の強度は、この側圧に耐えられるように決めます。

計算式(液体圧としての近似)

側圧は、液体の圧力と同じように深さ(打込み高さ)に比例すると考えるのが基本です。

側圧 P = W × H W:コンクリートの単位容積重量(約23kN/m³)/H:打込み高さ(液頭)

ただし、コンクリートは時間が経つと凝結・硬化して固まり始めるため、実際の側圧は深くなるほど無限に増えるのではなく、ある高さで頭打ち(最大値)になります。これは、下のほうのコンクリートが上から打ち込まれている間にある程度固まり始め、液体として振る舞わなくなるためです。頭打ちになる高さや最大側圧の具体的な値は、打込み速度や気温などの条件によって変わるため、実務ではJASS5などの計算方法に基づいて設計します。

側圧が大きくなる条件

POINT

側圧は次の条件で大きくなります。

  • 打込み速度が速い(凝結が進む前に高く積み上がるため、液体状の部分が厚くなる)。
  • 気温が低い(凝結が遅く、液体状の状態が長く続く)。
  • スランプが大きい・流動性が高い(軟らかいコンクリートほど型枠を押す力が伝わりやすい)。

これらの条件が重なる工事(寒中コンクリートで高い壁を速く打つ場合など)では、通常より側圧が大きくなることを見込んで型枠・セパレーターを計画する必要があります。

型枠・セパレーターの設計との関係

型枠は、想定される最大側圧に対して変形・破損しないよう、せき板の厚さや端太(ばた)の間隔、セパレーターの本数・強度を決めます。側圧を過小に見積もると、コンクリート打込み中に型枠がはらんだり、最悪の場合は型枠が破損してコンクリートが漏れ出す事故につながります。逆に側圧を過大に見込みすぎると、型枠材料や手間が増えて不経済になるため、施工条件に応じた適切な側圧の評価が重要です。

注意

側圧は「打込み速度」に強く影響されるため、現場で計画より速いペースで打ち込んでしまうと、設計時に想定した側圧を超えるおそれがあります。ポンプ車の圧送能力に任せて打込み速度が上がりすぎないよう、施工計画どおりの速度で打ち込むことが型枠事故の防止につながります。また、バイブレーターによる過度な締固めも局所的に側圧を高めることがあるため、締固めの範囲や時間にも注意が必要です。

実務のワンポイント

型枠の施工計画書を審査する立場になると、計算上の側圧に対してセパレーターの本数は足りていても、実際の打込み速度を現場に確認すると計画より明らかに速いことがあります。私は図面上の数値合わせだけでなく、ポンプ車の圧送能力と実際の打設ペースを施工者に必ず聞くようにしています。

側圧の分布(図解)

側圧は深いほど大きいが、頭打ちになる コンクリート 深さに比例して増加 P = W × H ここから頭打ち(最大値) 下部は凝結が始まり 液体として振る舞わない 打込み高さ H 打込み速度が速い・気温が低いほど、頭打ちになる位置が下がり側圧は大きくなる
側圧は液体圧として深さに比例して増えるが、下部から凝結が進むため、ある深さで頭打ちになる。この最大値で型枠を設計する。

側圧を大きくする要因

要因側圧への影響理由
打込み速度が速い大きくなる下部が固まる前に上まで打つため、液体状態の高さが増す
気温が低い大きくなる凝結が遅れ、液体として振る舞う時間が長い
スランプが大きい大きくなる流動性が高く液体に近い
単位容積質量が大きい大きくなるP=W×H のWが大きい
バイブレーターの使用大きくなる振動で流動化し、液体状態に戻る
部材の断面が大きい大きくなるアーチ効果が働きにくい
冬の打込みは側圧に注意

意外に見落とされがちなのが気温の影響です。冬季は凝結が遅いため、下部のコンクリートがなかなか固まらず、液体として型枠を押し続けます。その結果、夏場と同じ打込み速度でも側圧が大きくなり、型枠の変形(はらみ)や最悪の場合は破裂につながります。寒い時期は打込み速度を落とすか、締付け金物を増やすといった対応が必要です。

よくある質問

Q1. 側圧はどのくらいの大きさになりますか?

打込み条件によりますが、壁で50〜100kN/m²程度、柱ではより大きくなることがあります。液体圧として単純計算すると、コンクリートの単位容積重量23kN/m³×高さ3mで69kN/m²ですが、実際は凝結により頭打ちになります。日本建築学会の型枠の設計・施工指針に、打込み速度・温度に応じた側圧の算定式が示されています。

Q2. 型枠が「はらむ」とはどういう状態ですか?

側圧によって型枠が外側にふくらみ、コンクリートの断面が設計より大きくなる状態です。締付け金物の不足や間隔の広さ、桟木の剛性不足が原因です。軽微なら断面が増えるだけですが、大きくはらむと仕上げ寸法が狂い、はつり作業が必要になります。最悪の場合は型枠が破裂し、コンクリートが流出する重大事故になります。

Q3. 柱と壁では側圧の扱いが違いますか?

柱のほうが厳しくなる傾向があります。柱は断面が小さく高さがあるため、短時間で高くまで打ち上がり、液体状態の高さが大きくなるためです。また、柱型枠は四方から締め付けるため、締付け金物の配置と本数が重要になります。壁は水平方向に長く、打込み速度を分散できるため、相対的に側圧は小さくなります。

まとめ

  • 側圧はフレッシュコンクリートが型枠を横に押す圧力で、型枠・セパレーターの設計根拠になる。
  • 液体圧として P=W×H で近似できるが、凝結により深部では最大値に頭打ちする。
  • 打込みが速い・低温・高スランプの条件が重なると側圧は大きくなる。
  • 打込み速度の管理が、想定した側圧を超えないための実務上のポイント。