鉄筋コンクリート造(RC造) 公開日:2026年6月14日 更新日:2026年7月22日

構造体強度補正値|3N・6Nの使い分けと温度

構造体強度補正値|3N・6Nの使い分けと温度

構造体強度補正値(mSn)とは、試験用の供試体と実際の構造体の強度差を補うための割増しのことです。コンクリートの配合(調合)強度を決めるときに使い、現場の養生環境で生じる強度差をあらかじめ見込んでおく仕組みといえます。

この記事の要点
  • 構造体強度補正値(mSn)は供試体と構造体の強度差を補う割増し値
  • 調合管理強度=品質基準強度Fq+構造体強度補正値で求める
  • 予想平均気温に応じて3N/mm²か6N/mm²を使い分ける

なぜ補正が必要か

標準養生した供試体の強度に比べ、現場の温度で固まる構造体の強度は出にくいことがあります。そこで、品質基準強度Fqに補正値を加えて、配合の目標(調合管理強度)を決めます。

調合管理強度 = 品質基準強度 Fq + 構造体強度補正値(mSn)

強度差が生じる理由

コンクリートの強度は、セメントの水和反応が進むことで発現します。標準養生の供試体は一定の温度・湿潤環境で管理されますが、実際の構造体は外気温の影響を直接受けるため、とくに気温が低い時期には水和反応が緩やかになり、同じ材齢でも供試体より強度が低くなる傾向があります。この差を見込まずに配合を決めると、構造体の強度が設計上必要な水準を下回るおそれがあるため、あらかじめ割増しをして配合強度を高く設定します。とくに躯体の断面が薄い部材や外気にさらされる面積が大きい部材ほど、供試体との温度差の影響を受けやすい傾向があります。

3N・6Nの使い分け

POINT:気温で変わる

構造体強度補正値は、セメントの種類と打込みから材齢までの予想平均気温に応じて、3N/mm² か 6N/mm²を使い分けます。普通ポルトランドセメントの場合の目安は次のとおりです。

予想平均気温補正値(mSn)
高め(おおむね8〜25℃程度)3 N/mm²
低め(おおむね0〜8℃程度)6 N/mm²

気温が低いと強度発現が遅く構造体強度が出にくいため、補正値を大きく(6N)します。高炉セメントなど水和熱・強度発現の傾向が異なるセメントを使う場合は、別途補正値の考え方を確認する必要があります。

計算例

例:品質基準強度Fq=24N/mm²、予想平均気温が低め(mSn=6N/mm²)の場合
調合管理強度 = 24 + 6 = 30 N/mm² 気温が高めでmSn=3N/mm²であれば、調合管理強度は27N/mm²になる

このように、同じ品質基準強度でも施工時期の気温によって配合の目標強度が変わるため、工程計画と合わせて補正値を確認しておくことが重要です。

注意点

注意

構造体強度補正値は、あくまで気温による強度差を補うためのものであり、施工不良や養生不足による強度低下まで補償するものではありません。適切な打込み・締固め・養生を行うことが前提であり、補正値に頼って品質管理を軽視してはいけません。

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実務のワンポイント

冬季施工の工程を組む打合せでは、打込み時期の平均気温を見込まずに配合を決めてしまうと、後で補正値の見直しが発生し工程に響きます。着工前に生コン工場と気温条件をすり合わせておくことを習慣にしています。

強度の種類と関係(図解)

コンクリートの強度には似た名前のものが複数あり、混乱しやすい部分です。関係を整理しておきましょう。

コンクリート強度の関係 設計基準強度 Fc 構造計算で用いる強度 耐久設計基準強度 耐久性から必要な強度 の大きいほう 品質基準強度 Fq 構造体に確保すべき強度 + mSn (3 or 6 N/mm²) 調合管理強度(発注する強度)
構造計算で必要な設計基準強度と、耐久性から必要な強度の大きいほうが品質基準強度Fq。これに構造体強度補正値を加えたものが、実際に発注する調合管理強度になる。

補正値を扱ううえでの注意点

注意点内容
気温は「予想平均気温」で判断打込み当日の気温ではなく、打込みから材齢28日までの期間の予想平均気温で判定する。工程表と気象データから事前に決めておく
セメントの種類で変わる普通ポルトランドセメントを前提とした値。高炉セメントB種など、強度発現の傾向が異なるセメントでは別の考え方を確認する
施工の質を代替しない補正値はあくまで温度差を見込んだ割増し。締固め不足や養生不良による強度低下は補えない
季節をまたぐ工事低層と高層で打設時期が数か月ずれる場合、階ごとに補正値が変わることがある
なぜ気温で強度発現が変わるのか

コンクリートの強度は、セメントと水の化学反応(水和反応)によって発現します。この反応速度は温度に強く依存し、気温が低いほど反応が遅くなります。標準養生された供試体は約20℃の水中で管理されるため順調に強度が伸びますが、冬期の現場で外気にさらされる構造体では反応が進まず、同じ材齢28日でも強度に差が出ます。この差を埋めるのが構造体強度補正値です。

よくある質問

Q1. 構造体強度補正値と温度補正値は同じものですか?

実務ではほぼ同じ意味で使われますが、厳密には構造体強度補正値(mSn)が正式な用語です。かつては温度補正値と呼ばれていたこともあり、現場では混在しています。いずれも、供試体と実際の構造体の強度差を補うための割増しを指しており、予想平均気温に応じて3N/mm²または6N/mm²を用いる点は共通しています。

Q2. 補正値を大きくすれば安全性が上がりますか?

むやみに大きくするのは適切ではありません。補正値を大きくすると調合管理強度が上がり、必要なセメント量が増えます。その結果、水和熱による温度ひび割れのリスクが高まり、乾燥収縮も大きくなる可能性があります。またコストも上がります。補正値は規定に従って適切に設定し、必要以上に割増ししないことが原則です。

Q3. 夏場でも補正値は必要ですか?

必要です。気温が高い時期は初期の強度発現が速い一方、長期的な強度の伸びが小さくなる傾向があります(高温履歴による強度低下)。そのため、暑い時期でも3N/mm²の補正値を見込むのが標準です。また、暑中コンクリートでは打込み時のコンクリート温度が35℃を超えないよう管理するなど、補正値とは別の対策も必要になります。

まとめ

  • 構造体強度補正値は供試体と構造体の強度差を補う割増し(mSn)。
  • 調合管理強度=品質基準強度Fq+補正値。
  • 予想平均気温で3N/mm²か6N/mm²。気温が低いほど大きく(6N)する。
  • 補正値は気温差を補うものであり、施工品質そのものの管理は別途必要。