暑中コンクリートとは?意味と対策
暑中コンクリートは、気温が高い時期に、急激な水分蒸発や凝結の促進による品質低下を防ぐため、特別な配慮をして施工するコンクリートです。夏場は打込みから硬化までの時間が短くなり、スランプ低下やひび割れなど普段は起きにくいトラブルが発生しやすいため、計画・材料・養生のすべての段階で対策が必要になります。
- 暑中コンクリートは日平均気温25℃超が予想される場合に適用する区分。
- スランプ低下・コールドジョイント・初期ひび割れなど夏特有のトラブルに注意。
- 打込み温度の管理・運搬時間の短縮・湿潤養生の3点が基本対策。
意味と適用
JASS5では、日平均気温が25℃を超えることが予想される場合に、暑中コンクリートとして扱います。気温が高いと水分が早く失われ、施工や品質に問題が生じやすくなります。適用期間は地域や年によって異なるため、工事監理者と生コン工場が事前に協議し、暑中期間の開始・終了の目安を決めておくのが一般的です。
暑中で起こりやすい問題
- スランプの低下:水分蒸発で軟らかさが急に失われ、打ちにくくなる。
- コールドジョイント:先に打った層が固まり、後から打った層と一体化しない継ぎ目。
- 初期ひび割れ:表面の急乾燥によるプラスティック収縮ひび割れ。
- 水を足したくなる誘惑(加水)→強度低下を招くので厳禁。
これらの問題は、いずれも「気温上昇によって凝結・硬化が早く進み、施工に使える時間(可使時間)が短くなる」ことが根本原因です。現場では、練混ぜから打込みまでの時間管理が特に重要になります。
対策
- 打込み温度の管理:コンクリート温度を35℃以下に。材料(水・骨材)を冷やす。
- 運搬・打込みを早く:練混ぜから打込みまでの時間を短く(おおむね90分以内)。
- 遅延形の混和剤で凝結を遅らせる。
- 湿潤養生:打込み後すぐ散水・養生マットなどで乾燥を防ぐ。型枠への散水も有効。
特に直射日光が当たる型枠や鉄筋は高温になりやすいため、散水で冷やしてから打込みを始めるのも有効です。打込み後は表面が乾く前に養生を開始し、初期ひび割れの発生を防ぎます。
寒中コンクリートとの違い
| 暑中コンクリート | 寒中コンクリート | |
|---|---|---|
| 適用の目安 | 日平均気温25℃超 | 日平均気温4℃以下 |
| 主な問題 | 急乾燥・凝結促進・スランプ低下 | 凍結による強度発現の停止・凍害 |
| 主な対策 | 温度を下げる・早く打つ・乾燥を防ぐ | 保温・加熱養生で凍結を防ぐ |
両者は対策の方向性が正反対ですが、「気温によってコンクリートの品質が左右されやすい時期に特別な配慮をする」という考え方は共通しています。
軟らかさを取り戻そうと現場で水を加える「加水」は、水セメント比が大きくなり強度・耐久性を大きく損なうため厳禁です。スランプが落ちた場合は打込みを見合わせるか、生コン工場に運搬時間短縮などを相談しましょう。
よくある質問
Q1. 暑中コンクリートの期間は誰が決めますか。
法令で全国一律の日付が決まっているわけではなく、日平均気温の予測をもとに、工事監理者と施工者・生コン工場が協議して適用期間を定めるのが一般的です。
Q2. コールドジョイントができてしまったらどうなりますか。
一体化しない継ぎ目は水密性・強度・耐久性の低下につながります。発生した場合は程度に応じて補修方法を検討する必要があるため、早期発見と打込み計画の見直しが重要です。
猛暑日の現場立会いでは、荷卸し時のスランプが基準内でも、打設が長引くとポンプ車の待機中に温度が上がって圧送性が急に落ちることがあります。私は炎天下の工程では、荷卸しの合否だけでなく打設スケジュール自体を前倒し・分割できないか事前に施工者と詰めるようにしています。
暑中コンクリートの対策(3段階)
暑中対策は、材料・運搬・打込み後の3段階で考えると整理しやすくなります。
| 段階 | 対策 | ねらい |
|---|---|---|
| 材料・配合 | 遅延剤(AE減水剤遅延形)の使用 | 凝結を遅らせて可使時間を確保 |
| 骨材・練混ぜ水の冷却 | 打込み時のコンクリート温度を下げる | |
| 低発熱型セメントの検討 | 水和熱による温度上昇を抑える | |
| 運搬・打込み | 運搬時間の短縮、待機時間の削減 | スランプ低下を防ぐ |
| 打込み時間帯の調整(早朝・夜間) | 気温のピークを避ける | |
| 打込み後 | 速やかな散水・シート養生 | 表面の急乾燥を防ぐ |
| 型枠・鉄筋への散水(打込み前) | コンクリートの水分が吸われるのを防ぐ |
時間管理が厳しくなる
暑中でもっとも起きやすいトラブルが現場での加水です。スランプが低下して打ちにくくなると、つい水を足したくなりますが、これは強度・耐久性を根本から損ないます。重要なのは、加水せざるを得ない状況をつくらないこと。具体的には、配車間隔を詰めて待機時間をなくす、遅延剤で可使時間を延ばす、打込み時間帯を涼しい時間に移す、といった事前の計画で防ぎます。
まとめ
- 暑中コンクリートは日平均気温25℃超で適用。急乾燥・凝結促進への対策が目的。
- スランプ低下・コールドジョイント・ひび割れに注意。加水は厳禁。
- 打込み温度35℃以下、運搬短縮、遅延剤、湿潤養生で対応する。
- 寒中コンクリートとは対策の方向性が逆。気温に応じた特別な配慮が必要な点は共通。