鉄筋コンクリート造(RC造) 公開日:2026年6月14日 更新日:2026年7月22日

コンクリートのスランプ値|18cmの根拠と許容値

コンクリートのスランプ値|18cmの根拠と許容値

スランプ値とは、スランプ試験で測るコンクリートの軟らかさ(下がり量、cm)を表す値のことです。一般的な普通コンクリートでは、生コン工場への発注時に「スランプ18cm」のように指定して使われます。数値が大きいほど軟らかく打ちやすいコンクリートになりますが、水が多くなりがちで強度や耐久性に不利な面もあるため、施工性と品質のバランスを取って値を選ぶことが重要です。なお、高流動・高強度コンクリートのように軟らかすぎて下がり量では測れないものは、別の指標であるスランプフローで評価します。

この記事の要点
  • スランプ値は普通コンクリートの軟らかさを表す指標で、8〜18cm程度で指定する
  • 18cmは施工性(打設のしやすさ)と品質のバランスが良く、多くのRC造で使われる
  • JIS A 5308で指定スランプごとの許容差が定められている

スランプ値の範囲

普通コンクリートのスランプは、一般に8〜18cm(場合により21cm)の範囲で指定します。値が大きいほど軟らかく打ちやすいですが、水が多くなりがちで品質に不利です。逆に値が小さすぎると、密な配筋部分やポンプ圧送で流れにくく、締固め不足による豆板(ジャンカ)などの欠陥が生じやすくなります。設計・施工条件に応じて、適切な値を選ぶことが大切です。

18cmが使われる根拠

POINT

一般的なRC造ではスランプ18cmがよく使われます。これは、ポンプ圧送や密な配筋でも打設しやすい施工性と、水を増やしすぎない品質のバランスが取りやすい値だからです。施工性をさらに上げたい場合は21cm、品質を優先する場合は15cm以下を選ぶこともあります(JASS5では計画供用期間などに応じて上限を設定)。

近年の現場は、生コンをコンクリートポンプ車で圧送して打設することがほとんどです。ポンプ圧送では、配管内をスムーズに流れる程度の軟らかさが必要になるため、あまりに硬いコンクリート(低スランプ)は圧送性が悪化し、閉塞(へいそく)のリスクも高まります。18cmという値は、こうした施工上の要求と、水セメント比を過度に上げずに品質を保つ要求との、実務上ちょうど良い落としどころとして定着してきた経緯があります。

許容値(JISの許容差)

指定したスランプに対し、JIS A 5308で許容差が定められています。

指定スランプ許容差
2.5cm±1cm
5・6.5cm±1.5cm
8cm以上18cm以下±2.5cm
21cm±1.5cm

たとえば18cm指定なら、おおむね15.5〜20.5cmの範囲が合格となります。現場では荷卸し地点(トラックから降ろす場所)でスランプ試験を行い、この許容差の範囲に収まっているかを確認するのが基本の受入検査です。

スランプが大きすぎる場合の注意点

注意

現場で「打ちやすくしたい」という理由だけで水を加え、スランプを規定値より大きくする行為(加水)は品質低下につながるため厳禁です。水を増やすと水セメント比が上がり、強度低下や乾燥収縮によるひび割れ、ブリーディングの増加などの弊害が生じます。軟らかさが必要な場合は、加水ではなく高性能AE減水材など混和剤の使用や、配合の見直しで対応するのが正しい方法です。

Q1. 現場でスランプが規定値を外れていたらどうしますか。

荷卸し時の受入検査で許容差を外れた生コンは、原則として不合格となり、打設に使用しません。生コン工場に連絡し、交換や対応を協議する流れになります。

実務のワンポイント

設計段階で「スランプ18cm」と特記仕様書に書くのは簡単ですが、実際に密配筋のRC壁で打設してみると18cmでも締固めが追いつかないことがあります。私は配筋が密な部材では、事前に施工者とスランプの上限を協議し、必要なら流動化剤の使用を検討するよう伝えるようにしています。

スランプ試験の方法(図解)

スランプ試験:下がり量を測る ① コーンに詰める 3層に分け 25回ずつ突く 高さ300mm ② 引き上げる 静かに垂直に ③ 下がり量を測る S この下がり量がスランプ値 JIS A 1101。単位はcm(0.5cm単位で読む)
高さ300mmのスランプコーンにコンクリートを詰めて引き上げ、頂部がどれだけ下がったかをcm単位で測定する。

スランプ値の選び方

条件スランプの目安理由
一般的な柱・梁・スラブ15〜18cm施工性と品質のバランス
配筋が密な部材18〜21cmすき間を流れる必要がある
断面が大きく配筋が粗い部材(基礎など)8〜12cm水を減らして収縮・発熱を抑える
ポンプ圧送距離が長い大きめ(18cm以上)圧送性の確保
スラブなど水平部材12〜15cm仕上げのしやすさも考慮
スランプの許容差:
指定8cm以上18cm以下 → ±2.5cm / 指定21cm → ±1.5cm
「打ちやすさ」だけで決めない

スランプを大きくすれば確かに打ちやすくなりますが、それは単位水量が増えることを意味します(減水剤を使わない場合)。水が増えれば強度・耐久性が下がり、乾燥収縮も大きくなります。原則は「施工が可能な範囲でできるだけ小さく」。どうしても流動性が必要なら、水ではなく減水剤で確保するのが正しいアプローチです。

よくある質問

Q1. スランプが規格を外れたらどうなりますか?

許容差を超えた場合、そのコンクリートは受け入れられず返送します。ただし、1回目の測定で外れた場合に限り、同じ運搬車から再度採取して試験を行うことができ、その結果が許容差内であれば合格とする扱いがJISで定められています。2回目も外れた場合は不合格です。スランプが小さすぎる場合に現場で加水することは、いかなる場合も認められません。

Q2. スランプ試験はいつ行いますか?

荷卸し地点で行います。生コン工場での練混ぜ時ではなく、実際に打ち込む場所での品質を確認するためです。運搬中にスランプは低下するため、工場出荷時と現場到着時では値が異なります。試験の頻度は、圧縮強度試験用の供試体を採取するときと同じ(打込み日・工区ごと、150m³に1回程度)が目安です。

Q3. スランプ21cmを超えるコンクリートはどう管理しますか?

スランプフローで管理します。スランプが21cmを超えるような軟らかいコンクリートは、コーンを引き上げると完全に崩れて広がってしまい、下がり量では評価できません。そこで広がりの直径(スランプフロー)を測定します。高流動コンクリートや高強度コンクリートがこれに該当し、50〜65cm程度で管理されます。

まとめ

  • スランプ値はコンクリートの軟らかさ(cm)。普通は8〜18cmで指定。
  • 18cmは施工性と品質のバランスが良く、一般のRC造で多用される。
  • 許容差は8〜18cmで±2.5cm。21cmで±1.5cm。
  • 現場での加水によるスランプ調整は品質低下につながるため厳禁。