スランプフローとは?スランプとの違いと測定方法
スランプフローとは、よく流れる高流動コンクリートや高強度コンクリートの流動性を表す指標のことです。普通コンクリートの軟らかさを表すスランプ値が「下がり量(高さ)」で評価するのに対し、スランプフローは「広がりの大きさ(直径)」で評価する点が特徴です。締固めをほとんど必要としないほど流動性の高いコンクリートを扱う際に欠かせない品質管理指標です。
- スランプフローは高流動・高強度コンクリートの流動性を広がり直径で表す指標
- スランプコーンを引き抜いた後の広がりを直交2方向で測り平均する
- 広がりの大きさだけでなく、材料分離の有無(自己充填性)も確認する
スランプとの違い
| スランプ | スランプフロー | |
|---|---|---|
| 測るもの | 下がり量(高さ) | 広がりの直径 |
| 対象 | 普通のコンクリート | 高流動・高強度など軟らかいもの |
| 値の目安 | 8〜18cm | 50〜65cm程度 |
よく流れるコンクリートは、スランプ試験では完全に広がってしまい高さの差で測れません。そこで広がった直径で流動性を評価するのがスランプフローです。普通コンクリートの品質管理がスランプ値で完結するのに対し、高流動・高強度コンクリートではスランプフローに加えて材料分離抵抗性なども総合的に評価する必要がある点が、普通コンクリートとの大きな違いといえます。
測定方法
試験はスランプ試験と同じスランプコーンを使います。コーンを引き抜いた後、コンクリートが広がって止まったときの直径を直交する2方向で測り、その平均をスランプフロー(cm)とします。あわせて、コーンを引き抜いてからコンクリートの広がりが直径50cmに達するまでの時間(フロー到達時間)を計測し、粘性の目安とすることもあります。
許容値
指定したスランプフローに対して許容差が定められます(目安)。
| 指定スランプフロー | 許容差(目安) |
|---|---|
| 50cm | ±7.5cm |
| 60cm | ±10cm |
あわせて、広がりが均一で材料分離していないか(中央に骨材が残っていないか、周辺にモルタルだけが分離して滲み出していないか)も確認します。
自己充填性との関係
高流動コンクリートの大きな利点は、締固め(バイブレーターによる振動)をほとんど行わなくても、自重で型枠のすみずみまで充填される「自己充填性」にあります。スランプフローの値が大きいほど流動性は高くなりますが、値が大きすぎると材料分離(骨材とモルタルが分かれてしまう現象)を起こしやすくなるため、単に「広がれば良い」というものではありません。適切な粘性とのバランスが取れているかどうかを、フロー到達時間や広がりの均一性とあわせて総合的に判断します。
測定・判定時の注意点
スランプフロー試験は、水平で振動のない場所に置いた鋼板の上で行う必要があります。傾きや振動があると広がり方が偏り、正しい値が測定できません。また、材料分離が見られる場合は、広がりの直径が許容値内であっても品質上問題があるため、外観の確認もあわせて行うことが重要です。
Q1. 普通コンクリートでスランプフローを測ることはありますか。
普通コンクリートは通常スランプ値で管理するため、スランプフローを測ることは一般的ではありません。ただし流動性を特に確認したい場合など、目的に応じて補足的に測定されることもあります。
Q2. スランプフローが規定値を外れた場合はどうしますか。
スランプ値の場合と同様、荷卸し時の受入検査で許容差を外れた生コンは原則として不合格となり、使用しません。
高流動コンクリートの試験に立ち会うと、広がりの直径だけを見て合格と判断してしまう若手をよく見かけます。私は必ず円の中心付近に骨材が偏って残っていないか、周辺にモルタルだけが薄く滲み出していないかを目視で確認し、数値が範囲内でも材料分離が疑われる場合は打設の可否を保留するようにしています。
スランプフローの測定方法(図解)
流動性以外に見るポイント
スランプフローでは、広がりの大きさだけでなく広がり方も観察します。数値が同じでも品質が異なる場合があるためです。
| 観察項目 | 良い状態 | 問題がある状態 |
|---|---|---|
| 形状 | ほぼ円形に均等に広がる | いびつに広がる(材料分離の兆候) |
| 縁の状態 | 縁までペーストと骨材が一体 | 縁にペーストだけがにじみ出る |
| 中央部 | 骨材が均等に分布 | 中央に骨材が残り山になる |
| 50cm到達時間 | 適度な速さ(粘性の指標) | 速すぎる=分離しやすい/遅すぎる=流れない |
高流動コンクリートに求められるのは、よく流れることと材料が分離しないことという、本来相反する性質の両立です。単に水を増やせばよく流れますが、骨材が沈んで分離します。粉体量を増やして粘性を確保しつつ、高性能AE減水剤で流動性を与える——この繊細なバランスの上に成り立っているため、スランプフローの数値だけでなく、広がり方の目視観察が重要になります。
よくある質問
Q1. スランプフローはどのくらいの値を目標にしますか?
用途によりますが、高流動コンクリートでは60〜65cm程度、高強度コンクリートでは50〜60cm程度が一般的です。値が大きいほどよく流れますが、材料分離のリスクも高まります。使用箇所の配筋の密度や流動距離に応じて、必要最小限の流動性を設定するのが原則です。許容差は±7.5cm程度とされます。
Q2. 50cmフロー到達時間とは何ですか?
コーンを引き上げてから、コンクリートが直径50cmまで広がるのに要する時間です。この時間は粘性の指標になり、短すぎると粘性が低く材料分離しやすい、長すぎると流動性が不足していると判断できます。高流動コンクリートの品質管理では、最終的な広がり(スランプフロー値)とあわせて、この到達時間も測定・記録します。
Q3. スランプとスランプフローの両方を測ることはありますか?
通常はどちらか一方です。スランプ21cm程度までは下がり量で評価でき、それを超える流動性のものはフローで評価します。ただし、流動化コンクリートではベースコンクリートのスランプと流動化後のスランプ(またはフロー)の両方を管理することがあります。どちらで管理するかは、コンクリートの種類と仕様書の指定によります。
まとめ
- スランプフローは高流動・高強度コンクリートの流動性を広がり直径で表す指標。
- スランプ(下がり量)に対し、フローは広がり直径(50〜65cm程度)。
- 同じコーンで直交2方向の直径を測り平均。材料分離の有無も確認する。
- 広がりの大きさだけでなく、自己充填性とのバランスも重要な評価ポイント。