鉄筋コンクリート造(RC造) 公開日:2026年6月14日 更新日:2026年7月6日

スランプ試験とは?スランプコーンとFcの関係

スランプ試験とは?スランプコーンとFcの関係

スランプ試験とは、まだ固まっていないフレッシュコンクリート軟らかさ(コンシステンシー)を、スランプコーンを引き抜いたときの下がり量(スランプ値、単位cm)で表す試験のことです。現場の受入検査で最も広く行われる品質管理項目で、方法はJIS A 1101に定められています。「スランプ」は英語のslump(へたる・崩れ落ちる)に由来し、コンクリートが自重で沈み込む様子をそのまま言い表した言葉です。

この記事の要点
  • スランプ試験はスランプコーンの引き抜き後の下がり量(cm)を測る、現場で最も一般的な品質管理試験(JIS A 1101)。
  • 試験は生コン車1台ごと・打込み工区ごとなど決められた頻度で行い、指定値との許容差で合否を判定する。
  • スランプは軟らかさの指標であり、強度Fcそのものとは別物。呼び強度とスランプを両方満たすように配合する。

試験器具とスランプコーンの寸法

スランプコーンは、高さ30cm・上口径10cm・下口径20cmの金属製の円錐台です。このほか、突き棒(直径16mm程度の丸鋼で先端が半球状のもの)、コーンを水平に保つための鋼製の平板、下がり量を測る巻尺やスケールを使います。平板は水平な場所に置き、コーンがずれないよう足で押さえて固定します。

試験の手順

  1. コーンにコンクリートをほぼ等しい3層に分けて詰め、各層を突き棒で25回、均等に突く。
  2. 上面を突き棒やこてですり切り、余分なコンクリートを取り除く。
  3. コーンを両手で静かに真上に、ねじったり傾けたりせず引き抜く。
  4. コンクリートが自重で下がった下がり量(cm)=スランプ値を、コーンの上端を基準に測定する。

引き抜きの速度や突き方が均一でないと、下がり方が偏ったり崩れたりして正しい値が出ません。試験は手際よく行い、コンクリートの材料分離が進む前に測定を終えることが大切です。

スランプ値の意味と許容差

スランプ値が大きいほど軟らかい(流動的)、小さいほど硬いコンクリートです。軟らかいほど型枠のすみずみまで流れ込みやすく打ちやすい一方、水を増やして軟らかくすると品質が下がるため、発注時に適切な値を指定します(→スランプ値の目安)。

生コンは注文したスランプに対して、実際の測定値が一定の許容差の範囲内にあるかを現場で確認します。範囲を外れる場合は、その車(バッチ)を荷卸ししない、あるいは配合の見直しを求めるといった対応を取ります。許容差の具体的な数値はJIS A 5308に規定されているため、発注前に確認しておくとよいでしょう。

Fc(設計基準強度)との関係

POINT

スランプは軟らかさの指標で、強度Fcそのものを測るものではありません。ただし、軟らかくしようと水を増やす水セメント比が大きくなり強度が下がります。そのため生コンは呼び強度(Fcに対応)とスランプを別々に指定して発注し、両方を満たすよう配合します。

スランプフロー試験との違い

スランプ試験スランプフロー試験
測るもの下がり量(cm)広がった円の直径(cm)
対象一般のコンクリート高流動コンクリートなど軟らかい配合
器具同じスランプコーンを使用同じスランプコーンを使用

非常に軟らかい配合では、コーンを引き抜くとコンクリートがほぼ水平に広がってしまい、下がり量だけでは軟らかさの違いを区別できません。このような配合ではスランプフローとして広がりの直径を測ります。

注意

スランプ試験は、突き方・引き抜き方・測定までの時間が結果に大きく影響します。突き棒を斜めに入れる、コーンを引き抜くときに横へずらす、平板の水平が崩れたまま測定するといったミスがあると、実際の軟らかさより値がずれてしまいます。また、生コンの採取から試験開始までの時間が長いと凝結が進んでスランプが小さく出ることもあるため、経過時間をそろえて試験することが重要です。

Q1. スランプ値が指定より小さいとどうなりますか?

硬すぎて型枠内に十分行き渡らず、締固め不足によるジャンカ(豆板)や充填不良の原因になります。許容差を外れる場合は荷卸しを見合わせ、配合や運搬時間の見直しを検討します。

Q2. スランプ値が指定より大きいとどうなりますか?

水が多すぎる可能性があり、水セメント比が上がって強度低下やブリーディング増加につながります。材料分離しやすくなる点にも注意が必要です。

実務のワンポイント

試験自体は数分の作業ですが、私が受入検査に立ち会うときは採取から突き終わるまでの手際を必ず見ます。突き棒をコーンの中心からずらして入れたり、引き抜きに手間取ったりするだけで値が変わってしまうため、数値の合否より先に試験者の動作を確認するようにしています。

まとめ

  • スランプ試験はコンクリートの軟らかさを測る試験(JIS A 1101)。スランプコーンに3層・各25回突きで詰め、引き抜いた下がり量がスランプ値。
  • スランプは軟らかさの指標で強度Fcとは別。呼び強度と合わせて指定し、許容差の範囲内かを現場で確認する。
  • 非常に軟らかい配合ではスランプフロー試験(広がりの直径)で評価する。
  • 突き方・引き抜き方・経過時間の管理が、正確な試験結果のポイントになる。